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○ |
東 京 |
宮地 伸一 |
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散りし桜つらなり流るる神田川昨日(きのふ)は見しにけさははや無し
川を覆ふばかりに昨日見し小鳥雨降る今朝は一羽だにゐず |
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○ |
東 京 |
佐々木 忠郎 |
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僅かなる納税なれど申告書横浜より長男が来て書き呉れぬ
細かなる納税申告書の説明書き今年も変はり老いを嘆かす |
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○ |
三 鷹 |
三宅 奈緒子 |
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門閉ざす休館のジブリ美術館そがひに枝垂桜(しだれ)垂りて明るく
花にらのうへにとめどなく桜散り思ひ思へど途(みち)はひらけず |
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○ |
東 京 |
吉村 睦人 |
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幼な子と蒔きし朝顔芽生えたり本葉出でなばまた移植せむ
一つプランターに植ゑて持ち来ぬ青山の庭にいただきし幾種類かの菊 |
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○ |
奈 良 |
小谷 稔 |
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会員減り労演危しと開演に先立ちて訴ふは他人事(ひとごと)ならず
会員の一人が一人を入れてほしああここも吾らと似たる発想 |
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○ |
東 京 |
雁部 貞夫 |
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著者の顔知らずに済ます今の本造り形ととのへ魂入れず
本読むは至福と詠めるを肯へどわびしともわびし硬貨一枚の本の売り買ひ |
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○ |
さいたま |
倉林 美千子 |
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雪解け水あふれて速きふるさとの川に木舟の艪を漕がむとす
ふなばたに雪解け水は飛沫あげ時折り岩盤に艪の触るる音 |
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○ |
東 京 |
實藤 恒子 |
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アルプスの雪映ゆる峰々八ケ岳迫る列車にわが凛として
甲高き木遣に御柱の先端に跨りて幣もつは建御名方(たけみなかた)か |
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○ |
四日市 |
大井 力 |
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谷深く傾るる棚田の菜の花に夕ひかりいま正眼(まさめ)の涅槃
桜ふふむ峠に見ゆる菜の花が夕日にけぶる棚田棚田に |
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○ |
小 山 |
星野 清 |
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人如何に言ひくるるともまがふなく力乏しきはわれこそが知る
凡人が指図することの恐ろしささまざまに見て知ればためらふ |
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(以下 HP指導の編集委員・インストラクター・アドバイザー) |
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○ |
札 幌 |
内田 弘 |
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熱出でし体だましてゆるゆると寒き雨降る巷を帰る
煙草吸ふ悪者の一人となりゆかむ力いつぱい夜(よ)の道に吸ふ |
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○ |
取 手 |
小口 勝次 |
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海近き磯料理に昼を食ふ地元の人らの明るきなかに
若き日に貝獲りに来てみどり児を預かりくれし家はいづくか |
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