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○ |
東 京 |
宮地 伸一 |
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帰り来てあかり点せばけふひと日留守居せし猫ただにまつはる
見送りましし京都の人らを偲びつつ午後は新宿のこの教室に |
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○ |
東 京 |
佐々木 忠郎 |
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くノ一刺客の落下傘つぎつぎ繰り出して噫自民党の独裁化成る
圧勝して専制政治初(はつ)の本会議別きて空しもチルドレンの拍手 |
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○ |
三 鷹 |
三宅 奈緒子 |
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ともに老いつつこの夏も吾ら会ひ得たり北の潮(うしほ)のひびかふ浜に
下北(しもきた)の岬はるかに影だちてゆゑなくこほし過ぎたる日々の |
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○ |
東 京 |
吉村 睦人 |
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岩見といふ姓の友ゐき重太郎と渾名をされて弱虫なりき
考への異なる仲間を仮借なく断ち切る小泉純一郎に吐き気催す |
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○ |
奈 良 |
小谷 稔 |
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ふるさとの訛を聞きぬ山の上の笹原に道をゆづりしときに
谷をへだて滝かかりたり濃き霧の中より出でて霧に落ちゆく |
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○
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東 京 |
石井 登喜夫 |
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医師の言葉「卵禁止」をハングルのメモにして食事(シクサ)の度に差し出す
日本統治時代の写真展巡り見て漢江を照らす月にかなしむ |
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○ |
東 京 |
雁部 貞夫 |
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月の夜に吾を訪(おとな)ふものは誰ガラス戸たたくは野良猫ミイか
午前三時原稿一つ仕上りてさあ乾杯だミイも寄り来よ |
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○ |
福 岡 |
添田 博彬 |
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われらの学費考へし父は内示されし署長を諦めて職移りたり
月に一度局に行くか行かぬかの議員らに役人風を見し人ありや |
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○ |
さいたま |
倉林 美千子 |
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遠き世のことなれば空想はほしいまま鞍作部の首(おびと)止利の工房
二十一世紀のこよひ事無し隣家(となりや)の少女がひそやかに犬呼ぶ声す |
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○ |
東 京 |
實藤 恒子 |
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遠く来てやすらぐ豊後のアクセント豊前はわれの故里なれば
さりげなく歌会の世話をして入院せし君ありてゆたかなる会なりしかな |
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(以下 HP指導の編集委員、インストラクター) |
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○ |
小 山 |
星野 清 |
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イチローの連続ヒットの小さき記事ニューヨークのホテルに今朝も拾ひぬ
日本では大見出しならむイチローの新記録達成も数行の記事 |
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○ |
札 幌 |
内田 弘 |
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吾が靴に画鋲を入れし少年の寂しさ知らず職を退きにき
けふ一日ソファーに両足投げ出しし妻には妻の思ひのあらむ |
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