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○ |
東 京 |
宮地 伸一 |
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下弦過ぎし月がのぼりて時も経ず海原染めて日は出でむとす |
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海のはてに先端出でて時もあらず球体となるをまざまざと見つ |
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○ |
東 京 |
佐々木 忠郎 |
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使ひ切れず放置せしまま五月(いつつき)かケータイ解約を妻の言ひ出づ |
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解約手続しに行く娘も逆らはず吾と妻とのケータイ包む |
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○ |
三 鷹 |
三宅 奈緒子 |
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唐屋根の反(そ)りうつくしと仰ぐ塔ひとときを日の照りて翳りて |
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君が病棟はいづくなりしと跡とどめぬ草地に立つに虫の鳴きたつ |
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○ |
東 京 |
吉村 睦人 |
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地球温暖化防止に協力せぬ国を温暖化ハリケーンは繰り返し襲ひぬ |
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杉本晃一氏大学予科にて同級生なりしを知りしは亡くなりしのち |
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○ |
奈 良 |
小谷 稔 |
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高き塔の翼は風に速度増し蓮の花ことごとく炎(ほむら)と騒ぐ |
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花びらを落ししものは向き向きにその青き実を傾けて立つ |
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○
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東 京 |
石井 登喜夫 |
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こころみに杖を使はず起ち居して今年の会を凌がむとする |
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病みて癒え病みて癒え来しわれの身の弱々しとも思へずなりぬ |
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○ |
東 京 |
雁部 貞夫 |
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わが会津の少年兵よりも更に若し西南の役に仆れし少年 (伊知地 鹿児島・城山) |
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陸軍少将桐野はいささか物々し人斬り半次郎我には親し |
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○ |
奈 良 |
添田 博彬 |
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海に向き傾く道のほの明るく幼く遊びし声蘇る |
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この窓に蜂飼ひをりしと近づくに紅殻の色いたくくすめり |
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○ |
さいたま |
倉林 美千子 |
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猪(しし)よけの柵に守られふるさとの畑の里芋葉の繁りあふ |
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莢かげに隠元の花ほろほろと咲き継ぎて畑に夏日あまねし |
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○ |
東 京 |
實藤 恒子 |
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滝水に打たるるはわれか迸り落ち来るはわれか瞬時の錯覚 |
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仰向きの蝉を起して外階段を手紙をもちてわれは降りゆく |
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(以下 HP指導の編集委員、インストラクター) |
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○ |
小 山 |
星野 清 |
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夕べかとまがふ電飾の輝けるブロードウェイに明日の切符買ふ |
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小さきバックも棒に掻き回し検査さるオペラを見むと浮かれつつ来れば |
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○ |
札 幌 |
内田 弘 |
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ジャガイモと稲を植ゑ分け麦畑に続く斜りに蕎麦の花咲く |
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桃色の棚引く雲の中に入る奥尻の岬に日輪歪む |
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