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○ |
東 京 |
宮地 伸一 |
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耐震偽装のビルもあるべし新宿の西口に出でて仰ぎつつ行く
今日もまた「悪」の充満せる記事を読みつつ疲労す何といふ国ぞ |
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○ |
東 京 |
佐々木 忠郎 |
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いちはやく庭にもみづる浜ぼうの一木明るし時雨のあめに
ふるさと保渡田(ほとだ)にかかはるみうた書写(しょしゃ)しつつその数多きに圧倒されぬ |
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○ |
三 鷹 |
三宅 奈緒子 |
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海に島に秋日みちゐきありありて友亡きいまにそのひかり恋ふ
おのおのに驢馬に乗り岬のみちゆききそのすこやかをつねと思ひき |
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○ |
東 京 |
吉村 睦人 |
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われと共に五十余年を生きて来しこの池鯉とまた年を越す
郷里は小千谷と言へり鯉を見てそのふるさとを思ひてゐしか |
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○ |
奈 良 |
小谷 稔 |
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村の人ら清く守れる無住の寺法事の後を錠鎖して去る
ふるさとに夜なべの習ひも絶えて久し柿剥くことも縄なふことも |
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○
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東 京 |
石井 登喜夫 |
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五六島(オユクト)をめぐれば右舷に展けゆく東海晴朗にして波高しけふ
チャガルチ市場(シジャン)は夜を閉ざすころ人の曳くトロ箱に烏賊が暗く光りぬ |
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○ |
東 京 |
雁部 貞夫 |
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釈迦苦行像に魂入るる今日の式太鼓の響きは吾が身ゆるがす(鎌倉建長寺)
大庫裡に暑を避け君と語りしか耶律楚材を馬乳の酒を
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○ |
福 岡 |
添田 博彬 |
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月の下に木犀は再び香りゐて木の影暗しと思ひて立てり
気がつけば五秒毎に期外収縮が起りてをりぬまさに正確に |
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○ |
さいたま |
倉林 美千子 |
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山肌を下る残照渓谷の瀬のひとところを赤々と染む
少しばかりわれら遅れぬ枝拾ひ杖とせる友息を合はせむ |
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○ |
東 京 |
實藤 恒子 |
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月耀ふプールにひとりほしいまま泳がざりし子規をわが思ひつつ
死の際まで身につけてゐし鉛筆と手帳にて九十九の美津の執念 |
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(以下 HP指導の編集委員、インストラクター) |
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○ |
小 山 |
星野 清 |
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エオヒップス見ればむさぼりて進化論読みし十代を恋ひ思ふかも
身ひとつが辛うじて入るこのカプセルにてあはれ地球を三周せしか |
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○ |
札 幌 |
内田 弘 |
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点す窓点さぬ窓に区切られてプライバシーの街は暮れゆく
地下駐車場の透る空気よ確執を飲み込み忽ち消しては呉れぬか |
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