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○ |
東 京 |
宮地 伸一 |
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南の島に兵なりし日を思ひつつドリアンを食む六十年ぶりに
日本人の横綱なきを嘆くと言ふシラク大統領いよいよしたし |
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○ |
東 京 |
佐々木 忠郎 |
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昨日三つ今日は五つ咲く昼顔の一日(ひとひ)の花を吾は愛しむ
木犀の秀枝より空(くう)に伸びゆける昼顔の蔓を夜床に思ふ |
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○ |
三 鷹 |
三宅 奈緒子 |
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さかんなる春蝉のこゑ今年また杖曳きて森の山荘に来つ
この沢のひびきわがものと歩むなりいつまで歩む吾とは知らず |
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○ |
東 京 |
吉村 睦人 |
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命ある限りつづかむこの思ひ思ひのままに終るともよし
朝顔の鉢を抱へて帰りゆく今日終業式の小学生ら |
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○ |
奈 良 |
小谷 稔 |
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明けを待ち若葉の中を歩まむか時鳥鳴く下に覚めゐる
遊び知らぬ世代と言はれ遊び知らぬ歌と言はれて一生終らむ |
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○
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東 京 |
石井 登喜夫 |
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小泉君は吾をみちびきて疲るるか雷鳴の如きいびき夜すがら
飲まず食はず遊ばぬ爺(ぢい)に構ふなと言へど離れず政也はやさし |
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○ |
東 京 |
雁部 貞夫 |
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和田(ホータン)はタクラマカンの西の果て媼の歌あり驚きて読む
むし暑き一日(いちにち)なれど快し校正の合ひ間に西域行の媼を知れば |
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○ |
福 岡 |
添田 博彬 |
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お叱りにはならなかつたのよと言ふ君を大胆とも無垢とも羨みたりき
伴ひし少女の一人は今もなほ歌作りゐるを告げたかりしに |
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○ |
さいたま |
倉林 美千子 |
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幼くて風船爆弾を数へたる土橋ゆらゆら記憶の底より
面会の親と別れし「なみだ橋」別れて孤児となりし幾人(いくたり) |
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○ |
東 京 |
實藤 恒子 |
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労らるる齢となりしか高遠のこひがんざくら咲き満つるなか
時の間は桜の精か花に隣り花におほはれ花の間にまに |
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(以下 HP指導の編集委員、インストラクター) |
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○ |
四日市 |
大井 力 |
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智をかざし智に敗れたる若者のあらはに見せし利潤執着
偽装設計の必然を背後にて導きし者等を罰し得ざるか法も |
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○ |
小 山 |
星野 清 |
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黄と黒の太き縞あざやかなる魚が群れて素早しサンゴの海に
肌の色さまざまにして皆若しバリの砂浜に嬉々として遊ぶは |
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○ |
札 幌 |
内田 弘 |
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四階のマンションの窓よりふらふらと紋白蝶は部屋を巡りぬ
人間の表情に戻りビルを出でサラリーマンが居酒屋に入る |
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