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○ |
東 京 |
宮地 伸一 |
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むすび二つ食ふのみに足る朝の食事夕餉は少し早くとるべし
追突され幼子三人を失ひし親を思ひて我も涙す
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○ |
東 京 |
佐々木 忠郎 |
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八月号の君が最後の歌稿のコピー密かに取りしを額に掲げぬ
蜜柑の木に朝夕に来る黒揚羽ここが古里と誇示するが如
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○ |
三 鷹 |
三宅 奈緒子 |
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黄に明るき煙草の畑を過ぎ過ぎて森ふかき戸隠の里に入りゆく
たちまちに霧おほふ戸隠連山にむかふに沢へだて遠きいかづち
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○ |
東 京 |
吉村 睦人 |
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訳の分からぬ外来語を並べし所信演舌これがこの国の総理大臣
美しくない日本語を使ひつつ美しい国にするなどと言ふ
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○ |
奈 良 |
小谷 稔 |
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乾ききりし畑に水路より水入れて生き返る隠元の蔓の先まで
折をりの花移りゆく窓先に高砂百合はいま蝶を迎ふる
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○
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東 京 |
石井 登喜夫 |
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さまざまに語り継がるる不死鳥にも始祖ありと言へり暗指の如く
まどかにも沈みゆく日は雲に入り三角錐の茜となりぬ
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○ |
東 京 |
雁部 貞夫 |
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懲りもせず求めし西川満の詩書五冊足の踏み場も無きわが部屋に
その祖父は秋山清八会津の武士にしてわが古里の初代の市長
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○ |
福 岡 |
添田 博彬 |
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君が知るは母の半面と言ふ兄はわが父との貧の十年を見たりき
彼の岸に三人子と睦みゐむ母か待ちし六十八年は永かりしならむ
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○ |
さいたま |
倉林 美千子 |
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書き上げし興奮に今は身を任せ辛夷をわたる風聞きてゐつ
次の仕事に移らむまでのひと時に月は辛夷の上高くなる
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○ |
東 京 |
實藤 恒子 |
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古里の友ら幾人と納まりし写真はそれぞれに安堵の表情
面(おも)やせて帰りゆく友等を詠みし茂吉四泊五日の会果てし日を
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(以下 HP指導の編集委員、インストラクター) |
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○ |
四日市 |
大井 力 |
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急制動の車輪の火花に草の穂の焦げて匂へる線路伸びゐき
三年ぶりのプールの水に潜りゆく全身を碧(あを)き光に染めて
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○ |
小 山 |
星野 清 |
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新しきトーテムポール並べ立つこの国も先住の民を称へて
いつまでも暮れざる北の街角に花屋の花の色あたたかし
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○ |
札 幌 |
内田 弘 |
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屍を晒さぬ獣思ひつつ盂蘭盆に入る夜に酒飲む
物音も匂ひも消ゆる漆黒をひとりの部屋にひとり酔ひをり
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