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○ |
東 京 |
宮地 伸一 |
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赤彦の墓より下に長男の政彦の墓はしよんぼりと立つ
赤彦の墓の真下までビルは迫り諏訪湖も見難くなりて驚く |
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○ |
東 京 |
佐々木 忠郎 |
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立春の今朝は冬ざくらも色増して木蔭に立てる妻の若やぐ
杖つきて冬ざくら仰ぐ足もとに驚かすなよ蟇が来てゐる |
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○ |
三 鷹 |
三宅 奈緒子 |
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雪山の今朝うつくしと人言へど高層ビル囲む部屋のわが日々
一生(ひとよ)賭くるテーマ得たしと若き日に苛らちゐたりき過ぎて茫々 |
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○ |
東 京 |
吉村 睦人 |
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うつ向きて咲ける貝母はわが思ひ知れるがごとくかすかに揺らぐ
一生懸命声に出だせどこの幼ないまだ零歳言葉にならず |
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○ |
奈 良 |
小谷 稔 |
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杉の間を洩れ降る雪の音たてて吾をつつめり峠の上に
媼一人住む冬野にはかりんの実落つるにまかせ腐るにまかす |
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○
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東 京 |
石井 登喜夫 |
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何か忘れてゐるとぼんやりしてをりぬ四五分(しごふん)前は何をしてゐし
懊悩におのれみづから焦がしつつ夜(よ)をおそるるに夜(よる)はすぐ来る |
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○ |
東 京 |
雁部 貞夫 |
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一心不乱に己の顔をこすりゐる猫すら明日の雨天を告げて
外(と)に立てば今宵はまさしくおぼろ月明日の山行あきらめよとぞ |
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○ |
福 岡 |
添田 博彬 |
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その時は誌名をギララアと変へむ決意なしたるままに十年過ぎぬ
ベンチあるのみなる園に犬連れて寄りしを咎めむ顔に会ひたり |
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○ |
さいたま |
倉林 美千子 |
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ひそやかに窓打つ雪を聞きて眠る遠く赴き会はむ日近し
砂山に風はすさむかこの度はおのれ清むるために登らむ |
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○ |
東 京 |
實藤 恒子 |
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講座二つ十年となり六年となるいよいよ心引き締めゆかな
台車にてアララギ四十余年分を運びて並ぶ白き書棚に |
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(以下 HP指導の編集委員・インストラクター・アドバイザー) |
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○ |
四日市 |
大井 力 |
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ふるさとより西へ三里の河川敷巨象が化石に足型のこす
財政再建いふはいにしへもまたおなじ皇子の陵小さくすがし |
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○ |
小 山 |
星野 清 |
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増えゆかむ二酸化炭素も見込みつつなほも地球の寒冷化を言ひき
温暖化するもせざるも日本の食糧危機は常の現実 |
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○ |
札 幌 |
内田 弘 |
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交叉するヘッドライトが雪のなかに斑の影を次々落す
缶ビール飲みつつ芝に寝転びて午後より俄に充実したり |
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○ |
取 手 |
小口 勝次 |
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温暖化進む世にして久々に諏訪湖の御神渡り聞きて喜ぶ
徳利の酒を差しつつ差されつつ古里諏訪を神田にて語る |
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