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○ |
東 京 |
宮地 伸一 |
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酒飲まぬ日にせむと朝は決めたるにやはり手が伸ぶひと仕事すめば
わが家に住む猫また数を増したれど息子に向かひ文句は言はじ |
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○ |
東 京 |
佐々木 忠郎 |
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東京に四月の雪も温暖化現象かたちまち晴れて花匂ふなり
息子より妻三回忌の通知来ぬ許せよ智恵子父は歩けぬ |
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○ |
三 鷹 |
三宅 奈緒子 |
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野路すみれほそほそ咲きてこのせまきベランダの春かビルのはざまに
この季(とき)の胸衝(つ)くかなしみは何ならむ花咲きわたり樹々の芽ぶくに |
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○ |
東 京 |
吉村 睦人 |
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折々に摘みて食ひこし庭のチャイブ紅き坊主をつけはじめたり
陸(おか)山葵といふを一束買ひて来てその一本を土に活けたり |
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○ |
奈 良 |
小谷 稔 |
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衰へし足はともかく見下ろしに重なる桜底ひもあらず
歓びはしばしなりとも照る花の下くぐり人の群くぐりゆく |
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○ |
東 京 |
雁部 貞夫 |
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ふるさと会津のスーパーに久々に見出でたり祖父鶴吉の始めし「白糸納豆」
維新後の貧しき会津を救はむと納豆作りを始めし祖父か |
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○ |
福 岡 |
添田 博彬 |
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あがりくるものの感触に器寄せて吐きたり黒く染まる液体を
副作用にておこりし会陰部ヘルペスを六日にて癒すと屈託のなし |
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○ |
さいたま |
倉林 美千子 |
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嘆きつつかの夜一株おろしたる花韮土を覆ひて咲きぬ
花の触れ合ふ音か一面の花韮の疾風(はやち)に震ふ中に屈みぬ |
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○ |
東 京 |
實藤 恒子 |
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けふの歌会に満ち足り人ら帰りしとぞコンビの評の絶妙を言ひて
第一回安居会の人ら飲みしこの寺の水は喉(のみど)に沁みぬ |
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(以下 HP指導の編集委員・インストラクター・アドバイザー) |
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○ |
四日市 |
大井 力 |
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灌漑の池に向ひて舞へる獅子埋立前を祓ふ神事に
放棄田の増えて灌漑の水要らず池の役目も終るといふか |
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○ |
小 山 |
星野 清 |
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宇宙進化の論はおほよそ成れりといふアインシュタインより百年にして
観測による発見が証拠立てて宇宙論はや終末期とぞ |
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○ |
札 幌 |
内田 弘 |
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おほたかの急降下清し吾のみの憂ひは未だ微かに残りて
桜木は空に向かひて直截に既に莟の膨み来たり |
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○ |
取 手 |
小口 勝次 |
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幕末に天狗党蜂起せし筑波嶺の近き地に住みて二十八年
下仁田より和田峠に通ずる中山道その道下り西餅屋はあり |
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