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（平成２５年１月号） ＜ ＊印 新仮名遣い＞
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| ○ | 三 鷹 | 三宅 奈緒子 | |
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何時何がおこりしかと思ふまに我は救急車にて運ばれゐたり |
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| ○ | 東 京 | 吉村 睦人 | |
| 今からでも遅くはないと思ひしは何についてのことにてありしか 下葉にはなべて文字の記されてこの園に大き多羅葉樹あり |
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| ○ | 奈 良 | 小谷 稔 | |
| 港室津の辻また坂に標高を示して既に津波に備ふ 遠き祖の開拓崇め祭礼の行列は斧鉈鎌が先駆す |
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| ○ | 東 京 | 雁部 貞夫 | |
| 天空に浮かぶは出羽の月山か雪の山肌かげりもあらず 畑なかに「死にたまふ母」を焼きし跡茂吉の挽歌は生をも歌ふ |
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| ○ | さいたま | 倉林 美千子 | |
| 街路に沿ひ遺る赤門孤立して加賀百万石の姫君を言ふ キャンパスに入れば瞬時に時移りゴシック式建造影なすミモザ |
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| ○ | 東 京 | 實藤 恒子 | |
| 友にひそむ真の強さか画仙紙の「逢」の一字のこの自在心 書道展出でし同期三人（みたり）かたまりて銀座の宵の群に交はる |
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| ○ | 四日市 | 大井 力 | |
| 折るる前の心励ます自らを侘しむに今宵の退会通知 三十年続け来れる会のなか亡きに入れ替りそのみ子の歌 |
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| ○ | 小 山 | 星野 清 | |
| キュリオシティ動く火星か秋めきし雲の間（あはひ）に深き赤色 体に合はせ心を保てば楽になる沁みて今日聞く斯かる生き方 |
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| ○ | 福 井 | 青木 道枝 ＊ | |
| 背丈ほどのオリーブいつしか雀らの宿る木となりて朝の鳥がね オリーブの葉むらは銀にかがやきて青きつぶら実見分けがたしも |
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| ○ | 札 幌 | 内田 弘 | |
| 街川の渕に残りしスニーカー片方のみが引つ掛つてゐる 風荒れて後の静寂に収まらぬ裡に渦巻く怒りの断片 |
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| ○ | 横 浜 | 大窪 和子 | |
| パソコンに向ひ夜更しするわれを時をり覗き「寝よ」といふ声 ニコライ堂の坂下りゆくわれに来て黄の蝶ひとつすれ違ひたり |
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| ○ | 那須塩原 | 小田 利文 | |
| 単身赴任の予行と己に言ひ聞かす子と湯を浴むも稀なる日々に ひたすらに妻の願ふは毎日の子の浣腸の恙無きこと |
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| ○ | 東広島 | 米安 幸子 | |
| 朝は朝の夕べは夕べの光集むキャンパス通りの銀杏の並木 パソコンに不審抱くたび初期化せり遠隔操作が可能なりしとは |
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| ○ | 島 田 | 八木 康子 | |
| おびただしき雀にはかに鳴き立てり暁闇の庭のどの木か 暗闇に記しし歌の断片の大方は色褪す朝の光に |
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| ○ | 堺 | 梶浦 実子 ＊ | |
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職員室に戻れば袋だたきかも予感秘めつつ生徒指導す |
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| ○ | 尼 崎 | 有塚 夢 ＊ | |
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十年前かくも幸せなる生活（とき）が我が身に来るとは夢にも思わず |
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| ○ | 奈 良 | 上南 裕 ＊ | |
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物作る人は等しく尊きに千也さんの目には強引と映る |
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| ○ | 高 松 | 藤澤 有紀子 ＊ | |
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担任と児が似てくるは誰よりもそのまなざしを注ぎし証し |
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添田 博彬歌集 企救小詠より 強心剤注射したきを堪へ立つ死の前の呼吸に苦しむを見て 添田 博彬は九州の人、医師であった。昭和二十五年アララギ入会、平成二十一年死去医師として人として暖かいこころを終生持ち続けた人であった。
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