『落合京太郎歌集』より
含めるはくれなゐ結び咲きたるは夢ほのぼのとプルメイリアの花
虹の如く花穂をかざすrain-treeみどり濃き蔭に暫しいこはむ
高き幹より垂るる根は太く地につく印度バンヤンの暗き下かげ
仰ぎ見る気根は幾百条にもほそく垂る空より地を恋ふる如くに
足ひきて夕べ芝生にあさる鳩雀に似て雀より少し大きく
木の下の自動車の中に犬は待つワイキキの浜の燃ゆる夕映え
カピオラニイの青き芝生に照る月夜高く啼く鳥黒き森より
昭和41年(1966)、作者61歳の折にハワイで詠まれた作品。プルメイリア、バンヤン、カピオラニイ等現在の通常の呼び方とはわずかに異なるものがあり、字余りになっているところも多いが、作品の持つ勢いがそのことを気にさせない。
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