折々
造り足しし二階の木の香こよひより四人の子らがベッドに眠る
息迫り苦しみし妻しづまれば来たりて机のうへを片づく
まさびしき思ひ時の間も止むなきに室を暗くして一日(ひとひ)臥すつま
書き上げし原稿綴(つづ)る一人の時涙にじみてわれは居りにき
雪ふりし二日ののちの今日の晴ちりすぎむとする梅林(ばいりん)てらす
*五味保義先生(1901〜1982)は大戦後、「アララギ」を復刊させ、長く同誌を編集発行人として支えられた方です。現在「新アララギ」で作品合評を行っています。しみじみとした率直な作品を味わってみてください。