秀作 |
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○ |
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久住 誠鶴 |
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スタートの合図に吾が子たちつくす歓声の中にからだ揺らして |
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評)
一読して、ある場面が充分に見てとれる。三句に助詞を補いたい。この一首をものにしようとした作者の執念も称えたい。 |
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佳作 |
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○ |
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長沢 英治 |
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別れ際に触れしその手の冷たさを思ひつつわれは地下街に入る |
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評)
もう一歩、作者の心を反映したい。例えば「われは」を、「明るき」か「暗き」とした場合を考えても気分は変り、工夫の余地があるのだから…。 |
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○ |
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大窪 和子 |
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雪原に橇引く犬の目をみたり透き通りゐて蒼きそのいろ |
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評)
結句の「そのいろ」に不満が残る。この場合、「蒼きその目を」とするのはいかが。
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○ |
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桑原 真美子 |
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閃光の如く走った感情を伝える視線は届いただろうか |
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評)
若者の気持を率直に言い得ている。欲を言えば、やや浅い感情ということか。
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○ |
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井上 秀夫 |
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還暦を迎えて無料となりし湯へ向かう心はいくぶん寂し |
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評)
四句までなかなかによい。結句「いくぶん」が特に疵。仮に、「…心に寂しさの湧く」としておくか。「湯へ」は「湯に」としたい。 |
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(付記)
(1)加えようかと思いつつ外したものから…。疎井氏の一首目、いかにも調子が悪かった。大窪氏の一首目、片仮名の固有名詞がふたつは邪魔、初句の「アレッチ」は省きたい。
(2)ここに至るまでに私の手の入り過ぎた歌もあって(もちろん作者の歌として何ら差支えはないのだが)、公平を欠く恨みもあり、それらはあえて選ばなかった。
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