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○
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大窪 和子 |
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セルリアンブルーの海に飛び立つゴメ一つ翻るとき光を反す |
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評)
手際の良い作で作者の力量が分る。これからの問題としてセルリアンブルーというような片仮名に頼らない歌を目指すべきだ。作者はそういう段階にさしかかっていると見た。 |
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○
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蛍 |
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蓮の葉をかざして雨をしのぎゆくしばらく会わぬ祖母の待つ家 |
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評)
祖母を慕う作者の優しさが良く出ている。佳作に推した「泥んこの靴」の歌などに見られるように、甘く、柔らかい精神性をこの作者は追及してゆくだろう。楽しみだ。 |
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佳作 |
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○
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けい |
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右下に翳抱く月がやわらかに遅い帰りを照らしてくれる
つけ放しの深夜テレビも終わり告げなお許せぬはあの午後のわれ
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評)
若者の屈折した内面を凝視している作に好感を持つ。これからこういう歌をどう深めて行ってくれるか。今は未完成でも手応えのある作だ。必死に考える姿勢が良い。一首目の「右下に翳抱く」という歌は秀作に推すべきと考えたが、秀作が多くなり過ぎるので、控えた。
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○
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かすみ |
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どの口も「あつい」の形になっているベイヴメントに復讐されて
糸紡ぐおとめの指はしなやかにひたすらハーブを奏でるごとく
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評)
この作者も内側に向って内省の目を深く持っているところが良い。一首目の独自の見方が面白い。こういう歌をどのように作者は広げるのか?今月投稿の「旅立つの?」の歌は仕上がらなかってが、あのように拘る姿勢が良い。歌作りの資質十分の作者と見た。
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○
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蛍 |
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泥んこの靴さげて深呼吸ひとつして玄関の戸をそっと開けた日
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評)
少女の頃を回想する心に何とも言えない純な感じがとても良い。回想の歌にあきたらなくなった時、この次この傷つき易い心は何処に向うのであろうか。期待したい。
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○
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長沢 英治 |
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パソコンは古き写真を取り込みて鮮明に映る若きわがかげ
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評)
かなり歌い込まれて、手なれた処が見える。連作パソコン一連はそれぞれ読ませる力を持っている。このレベルをいま一歩深める事に挑戦して欲しい。
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○
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石田 聖美 |
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為すべきはまだ世にありと励まして「だから死ぬな」は口には出さず
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評)
作者が牧師さんであると理解しないと、結句は心に入って来ないかも知れない。信仰を共にする人の終焉を前にしてぎりぎりの心境人間としての心、牧師としての心、その葛藤が見える。一連未完であるが、その真剣さが良い。この事が歌に立ち向かう一番大切な事である。
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○
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ヒロミヤ |
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蟋蟀の微かに響く鳴き声の透き通りつつ立秋の去る
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評)
真剣に立ち向ったら才を表す人だろう。今何を詠むべきか。迷いが見えるように思う。今は身の回りに起こる現実の生活を、きめ細かく見て、詠むことだ。それが今作者の立ち向うものだ。尚アフガンの子供を詠んだ歌、テレビ画面を見た歌は弱い。
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