佳作 |
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○
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新緑
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「葉っぱビジネス」学びし山の随筆の受賞の知らせは先ず妻に言う
十日間文集作りに打ち込めば「大丈夫か」と仲間が覗く |
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○
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さつき
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湯の宿の窓いっぱいの夕焼けにお湯もろともにわが身が染まる
いち早く桜紅葉は散りにけり幹黒々と空にさらして |
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評)
1首目、原作に手を入れすぎたのであえて秀作とはしなかった。 |
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○
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まりも
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水やりを怠りしままのほととぎす今朝は若葉に蕾がのぞく
温き日差し残れる庭にひと群のほととぎすの花の淡きむらさき |
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○
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天井 桃
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白鳥の渡り来る声聞くたびに風の冷たさ肌に覚ゆる
ポストより出す新聞の冷たさに冬の訪れ近きを思う |
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評)
一首目の結句に少し手を入れた。 |
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○
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けいこ
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尾を振りて待ちゐし犬と巡りゆく今朝は紅葉の散り敷く道を
去年逝きし恩師の庭にかりんの実あまた生りたり取る人もなく |
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○
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松本 |
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乗る子らの叩く太鼓が音頭執る八十人にて担ぐ屋台は
一斉に「チョウサ」と叫び一トンの屋台を頭上高く掲げぬ |
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○
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太田
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口のみで描きし絵画と三行の詩の前に立ち優しくなりぬ
七十を過ぐる女も糧を得むと駅前に今朝もバスカード売る |
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○
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市村 恵
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如月の坂東の野に光りつつ我がモルダウの流れゆく見ゆ
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評)
この歌の成立の経過を知らずに1首を見ると利根川が連想され、違和感はあまりなくなりよくなった。 |
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○
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荒川 英之
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縁側に「ああ」「ああ」と洩らすみどり子の声は鴉の鳴くを真似るか
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○
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吉井 秀雄
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冴え冴えと朝の日差しの照るなかに黄鶲(きびたき)の骸(むくろ)を土に返しぬ
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