2014年2月号 選歌後記 三宅 奈緒子
荒くさの生えしままなる総門か親鸞ゆかりの高田専修寺
生きてゐる平生に救ひありと言ふ生きてゆくべし何あらむとも
金野 久子
親鸞が建立、布教した高田専修寺に参って、静かな境内の雰囲気を描出しているが、それだけに止まらず、「生きてゐる平生に救ひあり」と、その教えの中核を捉えているところ、深みがある。
我が脳の画像を示し医師は告ぐこのまま進めば認知症にと
認知症に我がなりし日の諸々を話さむとすれど夫取り合はず
高橋 晶子
本人にとっては一大事であるのに、夫は軽く受け流す。この夫君が別に冷淡というのではなく、本人ほど正面から受けとれないのであろう。全体に穏やかな表現で目立たないが、作者の真摯な姿勢が窺われる。
釜無の谿をくだりてそうそうとひびく瀬音は秋空にあり
ありとしもなき風うけて白樺は黄の葉を落す黄の葉の上に
駒沢 信子
高原の秋の雰囲気が一連全体に窺われるが、前掲の二首など、共に下の句が利いていて爽やかである。 |