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○ |
東 京 |
宮地 伸一 |
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バグダッドに米兵二名死すといふけふも片隅に数行の記事 |
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赤くひろがる火星の大地の写真見つ今世紀ここに立つ人もあれ |
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○ |
東 京 |
佐々木 忠郎 |
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テレビより流るる唱歌に声合はせ「故郷」を唱ひひとり涙す |
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今年は何故豆撒かぬかと妻聞かず吾も言ふなし日日共にゐて |
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○ |
三 鷹 |
三宅 奈緒子 |
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昂揚感また虚脱感こと一つ遂げて新しき年を迎ふる |
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失恋の傷をきざむに似し一年終刊の年をいまに思へば |
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○ |
東 京 |
吉村 睦人 |
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この岸に寄せて気負へる濁り波われの心のごとく愚かに |
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今もなほ心に持てるものありてひとり見てゐる芥浮く水を |
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○ |
奈 良 |
小谷 稔 |
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吉野川ふたたび三たび名を変へて家なき峡に激ちて白し |
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東吉野の山深きこの村にほろびたる天誅組また日本狼 |
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○
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東 京 |
石井 登喜夫 |
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よき年をと願ひしものをたちまちに事件あり吾らを戦慄せしむ |
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神なしと思ひつつ何に祈りゐるわれか湯呑を膝の上にして |
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○ |
東 京 |
雁部 貞夫 |
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体力を温存せむかと馬にのる若くはあらぬ賢き馬に |
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出湯あり体も髪も清めたり雪山映す豊かなる湯に |
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○ |
福 岡 |
添田 博彬 |
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呼ばれ来て目覚むるを待つ部屋明るくインターンなりし日を思はしむ |
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逝きし父母をしみじみ悲しむ暇無かりき或いは吾の幸せなりしや |
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○ |
さいたま |
倉林 美千子 |
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印刷インク匂ふ階コーヒーの匂ふ階吾にもながき仕事場なりき |
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日比谷通りの並木の木肌それぞれに片照りて冬日の遠き陽炎 |
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○ |
東 京 |
實藤 恒子 |
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母の贈りくれたる部屋着暖かく勤しみにつつ年明けむとす |
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六十年もたぬ平和か戦ひに傾れゆく音を今日は聞きたり |
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(以下 H.P担当の編集委員) |
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○ |
四日市 |
大井 力 |
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石器使ひ人等はここに住みつきき火の山を神と畏れあがめて |
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○ |
小 山 |
星野 清 |
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二階級特進させて勲章かかかるニュースの続く世ありき |
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