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○ |
東 京 |
宮地 伸一 |
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わが街の道路ふさぎて自転車の集まるは皆パチンコ店の前
兵役なきこの国を思ふことありやパチンコにひたすらいどむ若者
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○ |
東 京 |
佐々木 忠郎 |
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誘はれて娘夫婦と河津桜見にゆく妻の屈託もなし
車の渋滞に会はねばいいがと案じつつ庭の河津桜をひとり眺むる
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○ |
三 鷹 |
三宅 奈緒子 |
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皮膚荒れてただに立ちゐる老いし象広き石床に動くことなし
今は噛む力のなしと抜けし大き臼歯を展示す象舎の前に
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○ |
東 京 |
吉村 睦人 |
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お前は核を持つてはいけないと地球規模の苛めはつづく
核を持つてはならないといふ同じ理由であんたらも核を持つてはならぬ
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○ |
奈 良 |
小谷 稔 |
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教授会を必要悪とみなしたる経営者にて孤独に逝きぬ
車椅子にてダンスする写真卒業生よりの稀なる賀状の中の一枚
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○
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東 京 |
石井 登喜夫 |
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この冬が越せるのですかといふ言葉娘の声は強くひびきぬ
妻も吾も言挙げしつつ愚痴となる六十五年目の開戦前夜
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○ |
東 京 |
雁部 貞夫 |
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さきたまの寄居に鮎を愛でましし君の微笑み忘れざるべし(悼内田堅二氏)
病みてなほ歌へのはげしき意欲知る常おだやかな君のノートに
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○ |
福 岡 |
添田 博彬 |
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戦敗れ母校の校歌は変はりたれど我ら殉国を愛国としぬ
脊柱に重なるおぼろに白き影前の月より定かになりぬ
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○ |
さいたま |
倉林 美千子 |
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湾岸道路に架かる陸橋頭上には高速道交差すただ音の渦
動くものは際限もなく車車人の匂ひなし湾岸道路に
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○ |
東 京 |
實藤 恒子 |
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わが庭と出で来る折々この苑を還流して響く滝ふたところ
紅葉のいまだ華やぐ苑の路とりくるる手のあたたかきかな
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(以下 HP指導の編集委員、インストラクター) |
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○ |
四日市 |
大井 力 |
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悟りには程とほき身と分かりたることだけでよし花見て二日
いま少し時を貰ひて移る世に変らざるもの見詰めゆくべし
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○ |
小 山 |
星野 清 |
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大氷原融けて流れの轟けば氷河痩せゆくその速さ懼る
小型機の降り行く先に家の見ゆ大平原にかかる暮らしあり
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○ |
札 幌 |
内田 弘 |
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鉄骨の中に灯りの点りつつヘルメット動きて槌音止まず
人間の気息を間近に感じつつ電車の吊革握り続けぬ
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○ |
取 手 |
小口 勝次(HPアドバイザー) |
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笹を持ち兎が猿を追ひて行くそを追ふ蛙は大きく手を振る
第四巻は描写が粗しと聞きて見る細やかに描くけものらに飽かず
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