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○ |
東 京 |
宮地 伸一 |
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かの月を仰ぎつつ思ふほしいままに人往(ゆ)き来(き)せむは次の世紀か
わが生(せい)ののちになるとも月面に最初に立たむ日本人は誰か |
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○ |
東 京 |
佐々木 忠郎 |
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「一周忌までに智恵子の遺歌集仕上げます」息子の電話に妻涙ぐむ
歌にはとんと関心なき息子が冬の夜を智恵子の遺詠拾ひをらむか |
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○ |
三 鷹 |
三宅 奈緒子 |
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この年の終りの薔薇と香りたつ園ゆきゆきて人をこほしむ
ユリノキの黄葉の乾き落つる音年々にここに聞くもいつまで |
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○ |
東 京 |
吉村 睦人 |
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忙しきわれと思ひてその夫の死をも知らせざりし妹
戸塚公園をめぐりて来むかゼームス坂まで行きてみむかこの空き時間 |
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○ |
奈 良 |
小谷 稔 |
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ひとたびは上京し組織を守らむときほひしことも過ぎて十年
終刊責むる手紙保ちて十年かかの人々も多く亡き人 |
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○
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東 京 |
石井 登喜夫 |
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救急車を呼ぶべき吐血なりしことひと月を経て知りておどろく
昼すぎの翳なき道に杖つけば祖父の声父母の声こもごも聞こゆ |
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○ |
東 京 |
雁部 貞夫 |
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帰らざる覚悟に自ら墓建てて樺太目指しし間宮林蔵 常陸国・専称寺にて
陰多き林蔵の一生も思ふべしフォン・シーボルトを密告したる人物として |
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○ |
福 岡 |
添田 博彬 |
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三分間踞りて歩き得ると言へ半年前のごとくにはあらず
腫瘍影小さくなりしは現実にてクールの後も続くるべきか |
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○ |
さいたま |
倉林 美千子 |
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去にし世のたれか並べし石走(いはばし)を渡らむよ溝蕎麦の花も濡れゐる
すがれゆく畑と言へど盗みしは君ぞわが手に稲淵の茄子 |
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○ |
東 京 |
實藤 恒子 |
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クレーターあまたある月より見る地球まこと美しき地球といはむ
のぼり来る青き地球は鮮やかに相争ふは見ゆべくもなく |
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(以下 HP指導の編集委員・インストラクター・アドバイザー) |
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○ |
四日市 |
大井 力 |
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ふるさとに伝はる巨大炭化籾丈三糎は古代の突然変異か
落花生の倍の籾粒炭化して虫穴二つまざまざとあく |
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○ |
小 山 |
星野 清 |
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断りて受話器置きたるわが声のいたく刺あるさまにおどろく
交換せむ臓器のためにクローンの人間を飼ふか小説なれど |
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○ |
札 幌 |
内田 弘 |
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セギノールの一打に総立ちの札幌ドーム吾もスタンドに響(とよ)みゆきたし
夕光の及びて路地の吾が影を跨ぎて人等絶えまなく行く |
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○ |
取 手 |
小口 勝次 |
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吾が探す二人の歌碑は寺の奥潜まる池のほとりに見付く
文明と茂吉の二首は一つ石の左下右上に彫られて珍し |
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