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○ |
東 京 |
宮地 伸一 |
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朝おそく食はむとしつつ気づきたり消費期限はけふの午前三時まで
職を辞して収入のなきこの息子に金やりてけふも家出でて来ぬ |
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○ |
東 京 |
佐々木 忠郎 |
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わが回りの歌の変貌著(しる)けれど大正一桁は朱に交はらじ
「虚の写生」「気の写生」などに溺るるな寄らば切り捨てよ一刀のもとに |
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○ |
三 鷹 |
三宅 奈緒子 |
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すがる思ひにハローワークにつどへるに「志持て」と首相はいふか
この首相をいとひて吾はスイッチ切る海へだてては熱狂の二百万人 |
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○ |
東 京 |
吉村 睦人 |
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神奈川大学のキャンパスの中に土屋一族のゆかりの石の残ると聞けり
身の立ち居堪へずなりしを訴ふる老を具さに詠みし実朝 |
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○ |
奈 良 |
小谷 稔 |
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ふるさとの慣ひの雑煮を強ひざりし悔いもちて妻と四十五年
農に育ち飯粒(いひぼ)残さぬわが習ひ妻にも子にも伝はらずして |
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○ |
東 京 |
雁部 貞夫 |
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ゆくりなく吾が手に入りし鈴江氏の「林泉」の創刊告ぐるその日の歌稿
鈴江氏の自筆の歌稿読み終へてほのぼのとせり純粋な思ひに触れて |
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○ |
福 岡 |
添田 博彬 |
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MR終りて立てるわが足許ふらつき思はず頭を振りぬ
リアニックによる遺伝子の障害の大きかりしを若き医教へぬ |
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○ |
さいたま |
倉林 美千子 |
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見え難き目に書きましし文字乱れ手紙は一つ願ひを告げぬ
読み終へて遠き木枯らし杖持ちて待つと書き給ふよ杖が印(しるし)と |
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○ |
東 京 |
實藤 恒子 |
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車椅子に背(せな)を丸めてゐる友よ介護ホームのベッドの傍に
さうですねと一つ言葉を繰り返す車椅子の友に逢ひ来て寂し |
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(以下 HP指導の編集委員・インストラクター・アドバイザー) |
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○ |
四日市 |
大井 力 |
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濃縮ウラン極秘受入れの瞬間に組込まれたりかの国の核軍事防衛網(ブロツク)に
かの国に渡りて行方の分からざる久保山愛吉の被爆内臓組織の一部 |
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○ |
小 山 |
星野 清 |
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今日の暦に最大離角と記しあれば水星を見むとベランダに立つ
紫式部清少納言にちなむ名のクレーターありと聞きしかの星 |
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○ |
札 幌 |
内田 弘 |
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まづ靴が現はれ次第に全身が見えてエレベーターの人ら出で来る
靴に付きし雪の重かり一段ごとにその雪落としわが部屋に到る |
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○ |
取 手 |
小口 勝次 |
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赤彦に冬の良き歌多しと思ふその厳しき信濃に吾等育てり
赤彦の鍛錬道の「信濃教育」を守る教師らに育てられたり |
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