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○ |
東 京 |
宮地 伸一 |
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けふは腹をささふるものは何もなし夕べに出で来むものを期待す
この朝も目ざめて風に口ずさむ死にたくもなし生きたくもなし |
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○ |
東 京 |
佐々木 忠郎 |
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吾が卒寿の誕生日なれど宮地先生病み臥せませば妻と夕餉す(十月十五日)
十一月二十九日は病(やまひ)重き先生卒寿の日ただ独り籠り祈るのみなり |
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○ |
三 鷹 |
三宅 奈緒子 |
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千代田堰(えん)堤にあそびし幾夏の遠々し年へだて今日十勝川こゆ
十勝野をゆきゆきて今日の放たれし思ひよ二日の会を終りて |
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○ |
東 京 |
吉村 睦人 |
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弁当を食ふ人去れば本を読むわれのめぐりに鳩ら寄り来る
校正の直し出で来る小一時間この公園のベンチにて過ごす |
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○ |
奈 良 |
小谷 稔 |
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老いて病みて農を止めると兄の決めし年ぞ平成二十二年は
兄の最後の稲作はああ稗の中にうづもれて辛うじて三分作とは |
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○ |
東 京 |
雁部 貞夫 |
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ひたすらに山の絵かきたしと身を起すその手握れば手力強し
氷河おろしの風がうがうと吹く中に焚火目守りき酒含みつつ |
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○ |
さいたま |
倉林 美千子 |
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国力の無き外交をまざまざと今日はニュースに見て眼閉づ
鰹節を作りしとふ小屋尖閣の島に残りて秋の日穏し |
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○ |
東 京 |
實藤 恒子 |
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この明けのながき荘厳拡がれる豊旗雲をあかねに染めて
選歌会に疲れゐしわれを泰阜(やすをか)の友は告げつついだきあひたり |
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○ |
四日市 |
大井 力 |
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人悼む歌の会終へ帰るとき雲割れて光の帯が降り来ぬ
雲間より差す日の筋のかがやきて熟田の原を移りゆきたり |
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○ |
小 山 |
星野 清 |
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体温を超ゆる気温の昨日今日わが万歩計千を数へず
ごみ捨てに出で新聞を取り込みて後はひたすらに冷房の部屋 |
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(以下 HP指導の編集委員・インストラクター・アドバイザー) |
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○ |
札 幌 |
内田 弘 |
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意欲的なる眼差のままこの昼の動物園の獅子の立髪
角振りて闘ふことも必然にエゾ鹿繁殖の季節に入りゆく |
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○ |
取 手 |
小口 勝次 |
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五味保義合評書かむと読み返す岡麓追悼号の五味先生の文
岡麓追悼号の年譜書きし宮地先生いま病みいます |
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