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○ |
東 京 |
佐々木 忠郎 |
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宮地先生衰弱著(しる)く遂に遂に肺炎病みて此の世去り給ふ
九十歳と四か月余(よ)の生終へましき残らむ日日を吾にも賜へ |
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○ |
三 鷹 |
三宅 奈緒子 |
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北のまちの職辞して上京せしときのつひの少女らなり今日はあひ会ふ
被災せし人らも加はるつどひにてこもごもにその日そのときを言ふ |
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○ |
東 京 |
吉村 睦人 |
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地震国は原発造らず地熱利用の発電こそが最も相応し
憲法に保障されたる居住権損ふ様な物は造るな |
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○ |
奈 良 |
小谷 稔 |
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湖(うみ)北の村はづれなる道の駅親しなつかし藁束を売る
見下ろしの湖になだるる万緑の中にほのぼの朴の白花 |
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○ |
東 京 |
雁部 貞夫 |
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アララギを救ひ得ざりし戦犯の「われはB級」と先生言ひき
最上川源流の吊橋踏みしめて君は去りたり終の旅にて |
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○ |
さいたま |
倉林 美千子 |
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山間と麓の気温差それぞれに捉へて人は米作り来ぬ
鴨山を此処と定めし茂吉の意気思ひはかへる盛んなる世に |
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○ |
東 京 |
實藤 恒子 |
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日本語を文語を護りし二人亡し嗚呼片山貞美宮地伸一
片山氏の葬儀に共にゆきにしが二年六か月後に先生も亡く |
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○ |
四日市 |
大井 力 |
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地球生誕の焔(ほむら)の色を空想し人力を超ゆるものを思ひぬ
平和利用と耳障りよきに酔ひしれて核を侮り時過し来ぬ |
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○ |
小 山 |
星野 清 |
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一号炉炉心溶融確認のニュースはふた月を過ぎてやうやく
幻の安全を日々唱へゐし専門家らは近ごろ見えず |
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(以下 HP指導の編集委員・インストラクター・アドバイザー) |
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○ |
札 幌 |
内田 弘 |
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伝はらぬ心のままに諾へば回旋塔に灯りが点きぬ
無視すべき彼を庭の牡丹の前長く激しく憎んでゐたり |
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○ |
取 手 |
小口 勝次 |
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佳き日あり苦しき日ありし五十年語り合ひては杯を交す
筑波嶺の麓の宿にも震災の傷あり露天の風呂に入れず |
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