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○ |
東 京 |
佐々木 忠郎 |
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ベッドより見回す壁に懐かしむ函館観光ポスター飽くことももなく
歩行困難ひとり歩きの出来ぬ身は古里のポスターに「サヨナラ」を言ふ |
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○ |
三 鷹 |
三宅 奈緒子 |
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君が遺影と共なる二日終へたれば再び帰るかおのおのの日に 全国大会
家ごもるひと日過ぐして夜となればマジクールつめたきを巻き寝むとす |
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○ |
東 京 |
吉村 睦人 |
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約束の鰻食ふことも出来ずなり今日大江戸に一人わが来ぬ
仕事終へ一杯飲みにゆかむとし君ゐるごとく思ふたまゆら |
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○ |
奈 良 |
小谷 稔 |
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常に君の心痛めし歌のことば崩れ崩れていづへに行かむ
老いし君に歌をたのしむ自適の日ありしかただの一日たりとも |
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○ |
東 京 |
雁部 貞夫 |
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今年また鮎の季節となりたれど会津の山河をセシウム汚染す
「集団となり凌ぐ」形も限界か人を信ずる気風薄れて |
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○ |
さいたま |
倉林 美千子 |
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原発事故さへ無ければ家を繕ひてとうに帰つてゐますと言へり
もうあの家には住めないでせうと語り止むむしろ明るき声となりつつ |
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○ |
東 京 |
實藤 恒子 |
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亡き君を心に声そろへ万葉の旅人を悼む六首を読めり
父のつひの齢となりて越えゆかむ試練か耐へに耐へぬけとこそ |
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○ |
四日市 |
大井 力 |
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兄と藷掘りし畑がJAの直売店に替りてゐたり
この惑星に人より以前にある藷かとも角吾等の飢ゑを救ひき |
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○ |
小 山 |
星野 清 |
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危ふさを知る術のなく住む土地に摘みし新茶が出荷停止に
安全と思へる遠き村里に蓄ふる間に藁汚染せし |
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(以下 HP指導の編集委員・インストラクター・アドバイザー) |
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○ |
札 幌 |
内田 弘 |
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読めぬメモずらずら残る抽斗に微かに匂ふ母の残り香
海鼠酢に抓むナマコの輪切りさへ哀しきものよけふ母の逝く
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○ |
取 手 |
小口 勝次 |
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株式の市況の格言「小回り三月(みつき)大回り三年」今は信ぜむ
大戦の敗戦国ドイツ・イタリアは脱原発に舵切りはじむ |
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