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○ |
東 京 |
佐々木 忠郎 |
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九十の峰一つ越えて安らぐな追ひかけて来る妻の掛けごゑ
来む年は「新アララギ」に良き年ぞ代表の下(もと)日本一に |
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○ |
三 鷹 |
三宅 奈緒子 |
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ひかりつつ靡く茫穂この年も北に来てはやき秋にあふかも
この江差に幾度か若き夫の来て遺せり鴎島の一連十余首 |
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○ |
東 京 |
吉村 睦人 |
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「死の町」は現実ではないか「天罰」や「ヒステリー」は魂胆あつての発言なれど
「死の町」と言ひし大臣は罷免され「死の町」とせし者らは平然と居り |
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○ |
奈 良 |
小谷 稔 |
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なつかしき二階より山脈を見はるかし少年に還るわれと弟
牛部屋の壁に残れる牛の護符撮りて何せむ家の絶ゆるに |
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○ |
東 京 |
雁部 貞夫 |
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牡蠣めしを先づは買ひ込み陸奥(みちのく)の母の国への旅ゆかむとす 石巻へ
母の顔久々にして思ひ出ず仙石線に媼ら多く |
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○ |
さいたま |
倉林 美千子 |
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ペルシャ絨毯敷きたるのみに幾度も入り来て座る古き洋間に
何年も蓋開けざりしピアノにも触れたり絨毯の華やぐ夕べ |
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○ |
東 京 |
實藤 恒子 |
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そのたびに放射線量を測定し子らの遊ぶ場もなきこの今か
放射線があるから内部被曝するからと内で遊ぶゆゑをゆどみなくいふ |
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○ |
四日市 |
大井 力 |
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広島の二十倍の汚染線量を除きてふるさとに戻るといふか
結局はひとりひとりの志に帰結とは文学のみの世界にあらず |
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○ |
小 山 |
星野 清 |
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汚染キノコ生ふる山より流れ来る川が我等の街の水源
濁流のあふるる今日の思川(おもひがは)山のセシウムも流れゐるかや |
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(以下 HP指導の編集委員・インストラクター・アドバイザー) |
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○ |
札 幌 |
内田 弘 |
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胸内を語れば晴れる単純に今宵はカウンターの真中の席
限りなく勤めの愚痴を言ひ募る男よカウンターに零れるぞ水割り |
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○ |
取 手 |
小口 勝次 |
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礼文島香深(かふか)港より利尻島鴛泊(をしどまり)港へと名の良き地を行く
利尻にて見つけし蒲公英も外来種宮地先生嘆きいまさむ |
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