清水房雄の歌
今のうちに為さねばならぬ事のある思ひはやまず唯焦りをり
いたはられ過ごす晩年など思ひつかず独り勝手にこの孤立感
日に一度街の雑踏を行かねばと思ひ決め居り老とどめむに
気のきいたふはふは歌を良しとして定着すらしも平成短歌
つぎつぎに人等この世を去りゆきて静かになりぬ老の身めぐり
清水房雄は本年平成二九年三月三日、百一歳という高齢で他界された。その師土屋文明より一歳年長の長寿であったが最後まで認知症とは無縁であった。テレビを全く視聴せず読書をひたすらし、日課に歩いて心身の老化を自律的に防いだ。
小谷 稔
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