佐藤祐禎歌集 『青白き光』より
民意なき原子炉再開に沸く怒りマグマとなりて地中に潜む
「この海の魚ではない」との表示あり原発の町のスーパー店に
送電線空を狭めて連なれる原発のめぐり蜻蛉(せいれい)飛ばず
都市なみの庁舎諸施設道路網原発諸税と言ふ糖衣着て
一基にて日に数億を稼ぐといふ原子炉の寿命知る人のなし
反原発の歌詠むわれに原発は社内の歌会の講師頼み来
原発に縋りて無為の二十年ぢり貧の町増設もとむ
『青白き光』には昭和58年から平成14年までの作品が収録されている。3.11はその9年後に起き、作者は2年後に避難所で亡くなられた。83歳。永久保存版とも言うべき歌集と思い、改めて紹介する。
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