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○ |
甲 府 |
青木 道枝 * |
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ふいに開くドアより冷気ながれきてホノルル官庁街の暗がり
さまざまな形を指につくり出し影絵にあそぶ日本の朝を |
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○ |
札 幌 |
内田 弘 * |
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わが腕にふらふら止まりし秋の蚊よ老いの血では元気は出ぬぞ
それぞれの経て来し過去に触るるなく通夜に集まる伯父叔母従兄弟 |
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○ |
横 浜 |
大窪 和子 |
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スーチー女史あなたも軍部抑へきれず保身に傾くさびしき人か
咲く花を髪に飾りて立つ人よ今こそ救へロヒンギャの人々 |
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○ |
能 美 |
小田 利文 |
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翌日の死刑執行を告げらるる夢なりきしばし体動かず
突然死の予兆ならずやと怖れたる夢のこゑ去り秋に入りゆく |
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○ |
東広島 |
米安 幸子 |
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帰途のの車窓にいま美しく夕映す君のふるさと礼して過ぎぬ
朝靄の中をいでゆき帰りくる庭に暮れ残る石蕗の花 |
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○ |
島 田 |
八木 康子 |
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卒業式は運動場の風の中団塊世代一年目の我ら
「人数が多いのだから」が枕詞の中学時代も楽しかりしか |
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○ |
柏 |
今野 英山(アシスタント) |
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平日の美術館の列長々し団塊の世代は野に放たれて
この列島は美のガラパゴスどの文明も思ひつかざる形生まれき |
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