全世界を危機に陥らせている新型コロナウイルス。まだまだ収まる気配がない。それでも自然界の営みは何事もないように花が咲き鳥が啼く一年で最も爽やかな季節を迎えている。先人が残したこの季節の歌を読んで清々しい気持ちになりました。
(金野 久子)
橡の太樹いま吹きとほる五月かぜ嫩葉たふとく諸向きにけり
斎藤茂吉『あらたま』より
道の上にえごの白花散りしきて豆蒔き鳥は昨日よりなく
土屋文明『ふゆくさ』より
よしきりは鳴きやみ雲雀のこゑひびく夕潮差せる川のほとりに
宮地伸一『夏の落葉』より
みづみづとうつぎの花の触るるまで吾らのバスは山深くゆく
三宅奈緒子『白き坂』より
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