新アララギの初代代表だった宮地伸一先生の若かりし頃の歌をご紹介します。
こんなご時世ですので、ほっこりする歌を選んでみました。
歌集『町かげの沼』より
・やうやくに青く芽ぶける山の道のぼり来りぬけふは二人して
・この海を幾たび見しか傍にけふはつつましく人居りにけり
・あたたかき磯の光に二人して白きタンポポを掘らむとぞする
・中学生の我ひとり住みし家見むと妻をみちびく石多き坂を
・やうやくに一生定まる思ひにて妻のうつむく顔を見てゐし
・風邪引きて一日臥せれば身に沁みてありがたきかも妻といふもの
・幼なごも赤子もやうやく寝入りたり妻も昼寝せよしばらくの間
・あざのある小さき背中を拭ひをり平凡に父となりし幸
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