『青杉』より ・桜葉の散る日となればさはやかに海の向山見えわたるなり ・寂しさに耐へてもの焚く日ぐれ時板戸の外にしぐるる音す ・さくら散る山裾道の夕ぐれを牛曳きて来る少女子あはれ ・おしなべて光る若葉となりにけり島山かげに居啼く鶯 ・たちこむる山のさ霧は深くして杉のしづくのしとしとに落つ ・目にとめて信濃とおもふ山遠し雪か積れる幽けき光