| 秀作 | 
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 | ○ | 
 | 下野 雅史 | 
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 | 顔ほどの大きさだらうかあの窓は光を集めてマリアを照らす | 
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 | 芸術に昇華させたる白骨を何千体も散りばめており | 
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 | 評) 最終稿の期日を守ってください。一種目、どこかの教会での属目でしょうか。単なる属目だけでなく雰囲気が捉えられています。
 二首目、これはさらに具体を超越して対象に迫る手法で、成功しているでしょう。新仮名遣いなら「だろう」、旧なら「をり」。
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 | ○ | 
 | 叢雲 | 
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 | 連休を田んぼで過ごした思い出に田植え見るたび懐かしくなる | 
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 | 評) いろいろの批評を聞き、推敲を重ねた効果がよく出ています。
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 | ○ | 
 | 深山 猪手 | 
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 | 朝靄に映ゆる躑躅の白くして寝不足の眼に光りて痛し | 
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 | 故郷に帰りてみれば新しき居酒屋に知らぬ人どものをり | 
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 | 評) この一首目にも推敲のよい結果が感じとれます。二首目には映画の一コマのようなドラマを感じます。
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 | ○ | 
 | 田中 直美 | 
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 | ライスシャワーうくる笑顔は幼き日菓子分け食べた日々と変わらず | 
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 | 評) 結婚式のもう一首もよいと思いますが、少し平凡。佳作の方に採りました。
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 | ○ | 
 | 尾部 論 | 
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 | 風花の舞い来る中を芝刈りす妻と二人の息白々と | 
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 | 評) 風花の中だから息白々となのですね。まだ芽の出ぬ前の芝の手入れを二人でしている、ここにはやはり北欧らしさが感じ取れます。
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 | ○ | 
 | えめ | 
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 | 点滴に両腕青き妹が半袖の季節を「いやだな」と言ふ | 
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 | 評) やはりこの歌がよい。二首目以下は事柄的で感じの伴いに乏しい。
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| 佳作 | 
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 | ○ | 
 | 澤 智雄 | 
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 | 間際まで全力出し尽くしきり試験時間が今過ぎ去りぬ | 
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 | 古いもので十分なれど思いきって同じソフトをグレイドアップしたり | 
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 | 評) 自分の体験に根差していて好感の持てる二首。「出し尽くしきり」はちょっとくどい言い方。「出し尽くし」だけでよい。「間際までわれは全力出し尽くし」ではどうでしょうか。二首目の「古いもので十分なれど」の断りがちょっと常識的のようです。
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 | ○ | 
 | 叢雲 | 
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 | 我を外(と)に誘い出さむとタンポポの綿毛がひとつ迷い込みたり | 
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 | 評) 葉桜の歌も苦労したようですが、一日ごとに濃さを増すでは少し当たり前過ぎるでしょう。
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 | ○ | 
 | 深山 猪手 | 
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 | 何よりも此程までに我が腹を立てさすことに腹の立ちたる | 
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 | 評) 「此程」は「これ程」がよい。少なくとも「此れ程」。腹を立てさすことに腹が立つというのを、ずばり言ったところが独自です。
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 | ○ | 
 | 田中 直美 | 
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 | 披露宴二人らしさ守られていることだけでどこか安堵す | 
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 | 評) 「二人らしさ守られている」は独自ですが、少々分かりにくく、「だけでどこか安堵す」は安易に感じを説明してしまっています。
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 | ○ | 
 | 森 良子 | 
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 | 明日(あした)にも開かんとする実桜の蕾の上に雪は積りぬ | 
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 | 評) この歌も多くの推敲の過程が見られて、たいへん有益でした。
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 | ○ | 
 | 橘 新左衛門 | 
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 | 山の湯に午後の陽眩しゆったりと伸ばしたる足ゆれて光れり | 
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 | 陽のあたる閑けき谷の開けゐて鶯の声あちこちにせり | 
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 | 評) 二首目の下の句「鶯の声あちこちにせり」は、鶯の声ですから感じはよいのですが、ちょっと普通でしょう。
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 | ○ | 
 | 尾部 論 | 
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 | 小劇団率いて得意なりし日の吾も譲らざりき決して誰にも | 
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 | 評) 叙述的で感銘表出に少々欠けます。
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 | ○ | 
 | 田中 教子 | 
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 | 飲み干したカップの底を覗き見て後悔せぬと又嘘をつく | 
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 | 評) 「日傘さし行く」の歌も、佳作に入れることもできます。
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 | ○ | 
 | 片歌 | 
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 | 道野辺の名も無き花を踏みしだき吾殺人犯の心想へり | 
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 | 評) 一首目の「藤の花棚」の歌、内容が普通でしょう、二首目の「白き蝶」の方はセンチメンタル過ぎるでしょう。この「道野辺」の歌は上の句と下の句、ちょっと即き過ぎのきらいがあります。
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