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長澤 英治 |
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「いつくしみ深き」と歌ふ声のやみ病室より医師とナース出で来ぬ |
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ハンカチに汗拭き扇子あふりつつ真昼行きゆくセールスマン我は |
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黒々と投票用紙にB4の鉛筆で書く馴染みなき名を |
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○ |
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ゆうすけ |
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病み臥せる我が枕辺をよこぎりて入日しずかに本の背を灼く |
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キリストのやうな姿の浮浪者が自動販売機の下をのぞきてゐたり |
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○ |
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森 良子
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母が使いて古りたるガイドブックより飛鳥川辺の押し花零る |
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ヒロミヤ |
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立秋の日暮れどうしてこんなにもブラームスが良いのか俄雨ふる |
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○ |
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え め |
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給料日の休み時間に情報誌『横浜ウオーカー』を鞄から出す |
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○ |
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まき子 |
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もう秋が来たかのようなブティックのガラス隔てて友を待ちおり |
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「短評」 |
今月は投稿者が少なく、特に「秀作」と見なし得るものはなかった。
「何を」「いかに」歌うかという永遠の問題に向うとき、やはり「何を」が優先すると思う。
素材の弱いものは苦心しても中々よくはならない。 素材が良ければ多少の欠陥にも目をつぶることができる。 初参加の「ゆうすけ」さんの歌の「よこぎりて」などはきわどい表現で作者の目の動きがよく判ると同時にある種の抵抗感をふくむものと言えるだろう。
「えめさん」の歌の雑誌名(書籍名も同じ)などは二重括弧に入れるのが慣例。
作品数も少なかった上に皆さんの「相互評」「相互討論」がなかったことが一番問題であった。
皆さんがあまりにも消極的であったので、やむを得ず、私が口出しをしたのだということをよく理解して頂きたい。 誰かの作品が出たら間髪を入れず意見を述べてこそお互いの勉強になるものと思う。 来月も担当するのでしっかりと努力して私の期待に応えてほしい。
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