秀作 |
|
|
○ |
|
市村 恒雄 |
|
霜月の夜の小雨が傘を打つアシュケナージのピアノにも似て |
|
|
○ |
|
長澤 英治 |
|
タワービルの吐き出す群れの一波きて四五人が入る角の居酒屋 |
|
佳作 |
|
|
○ |
|
大窪 和子 |
|
寝そびれし夜の更けにしてパソコンに友のホームページを訪ひあそぶ |
|
|
○ |
|
尾部 論 |
|
敗走かなお戦うかタリバン兵は思いつめいん零下の山に |
|
|
|
○ |
|
田家 粋 |
|
風に舞う 京の紅葉は紅をさし 一力茶屋の 庭に落ち行く |
|
|
|
|
|
「短評」 |
秀作として、市村、長澤の両君の作品から選んだ。
市村君の作は詩的センスにすぐれ、別の歌の「里山」と「志賀高原」を詠んだものも良かった。
永沢君の作は都会の勤め人の日常の生活感が出ている歌が良い。 「きぞ撒きしパン屑」の作にもそのことが言える。 生活感の中から歌を発見する能力を大切にしたい。
生活感と言えば、大窪和子の「パソコン」の歌もすでに新しい生活の場を獲得した歌材であろう。 尾部論の「タリバン」の歌は、この作者としてはこのくらい作って当然というべき作。
但し、今日只今の流動する社会(世界)を捉えようと努めるのは現代に生きる表現者として大切な心がけであろう。
総体的な印象としては、各人が真摯に作歌に取り組んだ跡が読みとれて、気持よく選歌をすることが出来た。 |
|
|
|
|
|