作品投稿

今月の秀作と選評



石井 登喜夫 (新アララギ編集委員・選者)


秀作


なし

佳作


○
大窪 和子

地下ホールにタンゴの曲の流れゐて心ははつ゜むレッスンのとき


○
下野 雅史

暗闇をモーターボートの音が裂き近づきてはまた遠ざかりゆく



○
長沢 英治

起きがけの夢に諍ひし同僚と並びて今朝の茶を啜りをり



○
え め

気がつけば一人で海を眺めてた君も一人で眺めているね



○
長谷川 優紀

好きだって言える心をもつことで自分をもっと大切にしよう



○
りつこ

心静め星の光の生まれ出でし億光年の彼方を思ふ



○
小池 洋子

同居ならば孫と仰ぐにオリオンをよぎる流星に一人声あぐ





「短評」
 今月は特に「秀作」として挙げ得るものはなかった。
上記七首の素直さを評価したい。
 わかりやすい、無理のない、ことさらな意図の見えない歌を作っていただきたい。
 いろいろやってみるのも悪くはないが、「これがわが歌」だと作風を主張し得るまでにはよほどの研鑚が必要なので、最初は「癖のないこと」を第一とする。
 書道で最初から癖の強い人はなかなか本当の上手にはなれないようだ。
 「格に入って格を出づ」という言葉があるが、まず基本をしっかりしないと上達は望み得ないものだ。 「短歌の指導」などはおよそできるものではないが、皆さんの「癖」を取り除いてあげることくらいは出来るかも知れない。
 だが、それも嫌な人は一人で遊んでいれば結構たのしいだろうと思う。



バックナンバー

← →