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今月の秀作と選評



倉林美千子 (新アララギ選者)


秀作



井上 秀夫

娘は街へ下宿したれば雛壇の前にふとんを敷いて眠りぬ


評)
ほっとしたような寂しさがよく出ています。

佳作



長澤 英治

リクルートスーツの群を従へてさびしき肩が社内を巡る


評)
全くの客観ですか?「さびしき吾が肩」と思いましたが。



大窪 和子

今朝はけさの思ひに走る一号線フロントグラスに花びら受けつつ


評)
結句、「花びら受けて」でいいと思うけれど。




森 良子

大福の冷凍包みてもらいたる日本の新聞時かけて読む


評)
大福が邪魔にならず、これで一首が潤いました。




しおみ

ひきずりし思い断ち切り開け放つ窓の外には澄みわたる空


評)
断ち切ろうとする気持なのでしょう。




尾部 論

鷹が二羽ビデンの森に降下せりこの春いまだ針鼠(イーゲル)を見ず


評)
ビデンの森に降下する鷹そういえばこの春」として上下をつなぐと歌意も作者の位置もはっきりする。




のんの

ありがとう言葉なくても伝わるよ貴方の撮った春めく雪国


評)
かわいらしいです。 「心満ち」の歌もいいですよ。




三浦 隆光

洗濯機は今脱水をし居るらし小雨のやまぬ日曜の朝


評)
「し居る」は詰まるので、字余りでも「しているらし」と。日曜の朝の物憂い感じがあります。




上北 隆史

咲き盛る梅の林を母と観てしばし暖とる茶屋の甘酒


評)
「観て」は、普通の「見て」の方がこの作に相応しい。








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