| 
												
												
													
														
															
																
																	
																		
																			 
																			 | 
																			
																				 ○ 
																			 | 
																			 
																			 | 
																			宮野 友和 | 
																		 
																		
																			 
																			 | 
																			音の無いテレビを見てる僕の膝に小さくなつて君が寝てゐる | 
																		 
																		
																			 
																			 | 
																			 
																			 | 
																			評) 
																				上の句もなかなかにうまく捉えており、気取らずに表現していることにも好感が持てる。心引かれるものがある。 | 
																		 
																		
																			 
																			 | 
																		 
																	 
																 | 
															 
															
																
																	
																		
																			 
																			 | 
																			
																				 
																					○ 
																			 | 
																			 
																			 | 
																			大志 | 
																		 
																		
																			 
																			 | 
																			夕立に駅出でかねて手に取りし南フランスの旅の案内 | 
																		 
																		
																			 
																			 | 
																			 
																			 | 
																			評) 
																				夕立に降り込められて手に取ったのが「南フランスの…」で、現実と隔った固有名詞の効果がこの歌のミソ。4句は「手にしたる」としたい。 | 
																		 
																		
																			 
																			 | 
																		 
																	 
																 | 
															 
															
																
																	
																		
																			 
																			 | 
																			
																				 
																					
																					○ 
																			 | 
																			 
																			 | 
																			熊谷 仁美 | 
																		 
																		
																			 
																			 | 
																			白熱灯の明かりでひとり過ごす夜のボサノヴァ寂しすぎなくてよし | 
																		 
																		
																			 
																			 | 
																			 
																			 | 
																			評) 
																				溺れることは戒めねばならないが、感覚的なところがよい。「白熱灯の明かりにひとり過ごす夜のボサノヴァは寂しすぎなくてよし」とでもしたい。 | 
																		 
																		
																			 
																			 | 
																		 
																	 
																 | 
															 
															
																
																	
																		
																			 
																			 | 
																			
																				 
																					
																					
																					○ 
																			 | 
																			 
																			 | 
																			正 | 
																		 
																		
																			 
																			 | 
																			この年に逝きし友人数えつつ湯殿に足を伸ばして洗ふ | 
																		 
																		
																			 
																			 | 
																			 
																			 | 
																			評) 
																				何でもないような下の句だが、なかなかによい。己の命をいつくしみながら…。3句は「数へつつ」。 | 
																		 
																		
																			 
																			 | 
																		 
																	 
																 | 
															 
															
																
																	
																		
																			 
																			 | 
																			
																				 
																					
																					
																					○ 
																			 | 
																			 
																			 | 
																			石川 一成 | 
																		 
																		
																			 
																			 | 
																			温暖化進みし証凍土より出でしマンモス眼の前にあり | 
																		 
																		
																			 
																			 | 
																			 
																			 | 
																			評) 
																				愛知万博の「マンモス」なのだろう。それを「温暖化進みし証」と捉えて、作者の驚きのようなものが読みとれる。 | 
																		 
																		
																			 
																			 | 
																		 
																	 
																 | 
															 
															
																 
																 | 
															 
														 
													 | 
												
												
													| 佳作 | 
												
												
													 
													 | 
												
												
													 
													 | 
												
												
													
														
															
																 
																 | 
																
																	 
																		
																					
																					
																					
																					○ 
																 | 
																 
																 | 
																英山 | 
															 
															
																 
																 | 
																散り敷ける赤き椿の苔に映ゆ濁流あらふ大岩の上 | 
															 
															
																 
																 | 
																砂蒸しの温泉場より霞みたる今日登り来し開聞岳見ゆ | 
															 
															
																 
																 | 
																 
																 | 
																評) 
																	
																				1首目は、結句に「に」を補った方が落ち着く。2首目、4句がはさまって具合悪い。同じ言葉でも4、5句を倒置した方が通りがよい。3句を「霞み見ゆ」と切って歌うことも考えられる。 | 
															 
															
																 
																 | 
															 
														 
													 | 
												
												
													
														
															
																 
																 | 
																
																	 
																		
																					
																					
																					
																					
																					○ 
																 | 
																 
																 | 
																大志 | 
															 
															
																 
																 | 
																雨やみて小半時なほクスノキの高き梢のしたたりを受く | 
															 
															
																 
																 | 
																 
																 | 
																評) 
																	感じがある。「なほ」は少し出過ぎるので「小半時すぎ」とでも。 | 
															 
															
																 
																 | 
															 
														 
													 | 
												
												
													
														
															
																 
																 | 
																
																	 
																		
																					
																					
																					
																					
																					○ 
																 | 
																 
																 | 
																けいこ | 
															 
															
																 
																 | 
																泣き止まぬ孫を抱(いだ)きて仰ぎゐる雪に光れる那須の山並 | 
															 
															
																 
																 | 
																 
																 | 
																評) 
																	ありふれた上の句のような場面も「…那須の山並」によって存在感のある歌となった。 | 
															 
															
																 
																 | 
															 
														 
													 | 
												
												
													
														
															
																 
																 | 
																
																	 
																		
																					
																					
																					
																					
																					○ 
																 | 
																 
																 | 
																正 | 
															 
															
																 
																 | 
																自転車を漕ぎ行く少女の白き脛かがやくを見るこの朝もまた | 
															 
															
																 
																 | 
																 
																 | 
																評) 
																	下の句が目立ちすぎるので「自転車を漕げる少女の白き脛わが前をゆく…」などとして作りかえたい。「漕げる」は「漕いでいる」の意。 | 
															 
															
																 
																 | 
															 
														 
													 | 
												
												
													
														
															
																 
																 | 
																
																	 
																		
																					
																					
																					
																					
																					○ 
																 | 
																 
																 | 
																西田 義雄 | 
															 
															
																 
																 | 
																風にうねる菜の花に光降りそそぎあすかの香りを深呼吸する | 
															 
															
																 
																 | 
																 
																 | 
																評) 
																	上の句、情景を写そうと努めていることはよいが、ここで「香り」と言っては安っぽくなる。「あすかの風を深く吸いたり」など参考に。3句は「ふりそそぐ」とするか。 | 
															 
															
																 
																 | 
															 
														 
													 | 
												
												
													
														
															
																 
																 | 
																
																	 
																		
																					
																					
																					
																					
																					○ 
																 | 
																 
																 | 
																小林 久美子 | 
															 
															
																 
																 | 
																早朝に夫の堀り来し筍を山椒和へして母に届けぬ | 
															 
															
																 
																 | 
																 
																 | 
																評) 
																	「どうしてどうした」式の表現が気になる。4句を「山椒に和へて」とするとやや救われようか。筍だから「掘り」。「夜桜の…」の歌にも同様な傾向があるので注意を。 | 
															 
															
																 
																 | 
															 
														 
													 | 
												
												
													
														
															
																 
																 | 
																
																	 
																		
																					
																					
																					
																					
																					○ 
																 | 
																 
																 | 
																新緑 | 
															 
															
																 
																 | 
																告別の式終はるまで正座する麻痺の左足を組み替へながら | 
															 
															
																 
																 | 
																 
																 | 
																評) 
																	つらい姿勢に耐えているのだが、別れの切実な思いなのか義理でなのか、そこが不鮮明。もう一歩進めてほしい。 | 
															 
															
																 
																 | 
															 
														 
													 | 
												
												
													
														
															
																 
																 | 
																
																	 
																		
																					
																					
																					
																					
																					○ 
																 | 
																 
																 | 
																石川 一成 | 
															 
															
																 
																 | 
																新しきランドセル光らせ幼らは下校の道を列なしてゆく | 
															 
															
																 
																 | 
																 
																 | 
																評) 
																	選歌後記にふれた。それは「仏舞い」の歌にも通ずるものがあろう。 | 
															 
															
																 
																 | 
															 
														 
													 |