佳作 |
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○
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石川 一成 * |
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創作の夕餉を作りて何気なく反応あるか妻をうかがう |
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評)
男性が厨に立つのも珍しくはなくなった今日であるがこの作は男性の厨歌として心理的な視点が独自でおもしろい。 |
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○
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英 山 |
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雪降りて見なれぬ街となりし朝ときめき歩む旅人のごと |
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評)
この冬の記録的な豪雪に見舞われた地域の人には、のんきな作と言われるかもしれないが雪国以外ではこのような童心にかえったような詩情が雪にはある。 |
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○
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としえ * |
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母さんの自慢の娘かと問う子等は眼を開いて吾を見つめる |
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評)
母と娘の日常の信頼関係の深さがしのばれる作。息子は一般的にこのような問いはしないような気がする。 |
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○
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斎藤 茂 |
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わが胸に優太愛実を抱き上げて来たか来たかと頬を寄せ合ふ |
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評)
気取らずかざらず率直に詠んでいる。女性では出せない調子もよい。 |
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○
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大橋 悦子 * |
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気がつけばわが黒髪の伸びゆきて会えぬ月日の長きを思う |
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評)
これははじめからよく整っていて内容も情感がこもっている。 |
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○
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みどり |
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晴れ渡る空へと駆ける寒き風わが頬掠め耳元に鳴る |
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評)
下句は添削が入った形かもしれませんが木枯らしを自分の肉体でじかに感じたのが特色です。 |
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