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○
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新 緑 |
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杖突きてエレベーターに乗る我を親子が先にドア押して待つ |
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評)
作者を待ってエレベーターを止めていてくれる人への感謝が素直に、さりげなく表現された良い作品だ。 |
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○
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けいこ |
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病む夫の積年の愚痴受けをれば辞書で「トラウマ」探しみるなり |
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評)
身近な題材ながら、切り込みに新しさが感じられる。客観的に夫との日常をさり気なく歌っている所が良い。なお、「積年の愚痴」はもっと工夫が出来る所だ。 |
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○
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齋藤 茂 |
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「向ひ風体を倒せ」と大声に強く引つ張る伴走紐を
「胸をはれゴールだゴール万歳だ」われらは叫びてゴールに飛び込む |
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評)
臨場感溢れる作品で、一気に歌った勢いを感じさせる作品である。伴走した時の感動を一気に歌った所が良い。二首目は作品の背景は解らないが、感動がストレートに伝わってくる所を評価したい。 |
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○
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仲山 小百合 |
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さまざまの姿を撮りて筑波山壁にずらりと貼りてながむる |
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評)
直向きに筑波山を歌おうとする姿勢を評価したい。この歌は、日常性の中での筑波山を捉えて、気持ちを込めた所が良い。自分に引き付けて詠むことの大切さを教えてくれる。 |
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○
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英 山 |
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赤き実をつけたるアオキはつややかに昼なほ暗き山道に続く |
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評)
描写がしっかりしている。その意味で写生が行き届いていると言える。特に下句の捉え方が良い。山を実際に登っていく時の雰囲気が出ている。 |
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○
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石川 一成 |
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五合目まで雪を冠れる富士山は春の日浴びてまなかいに迫る |
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評)
印象を率直に表現した作品で、清新な感じが良く出ている。一連は、安定した詠み振りである。確かな把握が出来た五首は安心して読むことが出来た。 |
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