佳作 |
|
|
○
|
|
新 緑 |
|
杖を置きラジオ体操に片手上げ皆と合わしぬ区の大会に |
|
|
評)
具体的に淡々と歌っているところが良い。余計なことは歌わずに、自分の動作を客観的に詠んだのが良い。 |
|
|
|
○
|
|
大橋 悦子 |
|
老の身はかくも脆きか心臓マッサージに父の肋骨の折れむとぞ聞く |
|
|
評)
推敲に推敲を重ねて、特殊な状況をよく一首に纏めた。その努力を大いに買いたい。 |
|
|
|
○
|
|
小泉 誠 |
|
廊下にて見送る他に術はなし手術衣の妻が運ばれて行く |
|
|
評)
結句に作者の無力感も出ている。切迫した状況を歌う中に特色のある下の句となっているところが良い。
|
|
|
|
○
|
|
栄 藤 |
|
卓上に妻は土産の置物の梟をわれに向けて置きたり |
|
|
評)
寸景ながら、気持ちの籠もった一首になった。奥さんの心遣いが下の句に凝縮しているところが良い。 |
|
|
|
○
|
|
イルカ |
|
夕日うけイロハモミジの細やかな葉の隙間より光きらめく |
|
|
評)
推敲を重ねて纏まりある一首となった。下の句の写生が良い。 |
|
|
|
○
|
|
斎藤 茂 |
|
十人の子を育て来しわが母は九十六にて逝き給ひたり |
|
|
評)
一般的な歌い方ではあるが、気持ちが十分出た歌である。 |
|
|
|
○
|
|
吉岡 健児 |
|
果てしなき空に瞬く夕星に吾があくがれは未だ届かず |
|
|
評)
気分が先行したきらいはあるが、情感を大切にしている点を評価したい。 |
|
|
|
○
|
|
英 山 |
|
富良野路は向かひの山に霞むまでただ一本の貫ける道 |
|
|
評)
纏まりのある引き締まった表現が良い。 |
|
|
|
○
|
|
けいこ |
|
畑のなかに地蔵菩薩の祠あり片言で添ふをさなの祈り |
|
|
評)
微笑ましいをさなの祈りに対しての作者の柔らかな視線が感じられる。好感の持てる作品である。
|
|
|
|
○
|
|
市村 恵 |
|
森の路に遇う人もなく木漏れ日の葉を反しゆく風の顫音 |
|
|
評)
雰囲気がある歌である。作者はこの雰囲気を何とか伝えるために、推敲を重ねた。「葉を反しゆく」で辛うじて、纏まりを得たといえる。結句はやはり軽い。 |
|
|
|
○
|
|
EARTH |
|
エジプトに長らく住めるユダヤ人奴隷廃止を求めて叫ぶ |
|
|
評) 辛うじて、この歌が作者の歌いたいテーマを一応伝える歌として取り上げた。他は、作者が何を歌いたいのかが、最終稿に至っても、伝わらない。それは、テーマもさることながら、時制の無視がある。助言を素直に聞いて、作品を練り上げる努力をして欲しい。最後まで、投稿したことは、今後に繋がるものである。 |
|
|
|
○
|
|
石川 一成 |
|
乳飲み子に飴舐めさせて機嫌とるを許さじとわが娘の怒る |
|
|
評)
平凡ながら、捨てがたい味のある歌である。娘さんの心情が率直に出ているところが良い。 |
|
|