佳作 |
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○
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新 緑 |
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十年史を記念の式に配らんと麻痺の手ながら深夜に綴じる |
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評)
つねに前向きに行動的に障害に負けずに生きている姿が感動的です。 |
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○
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大橋 悦子 |
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病棟の廊下に貼られし父の画のクレヨンのバラ三色に咲けり |
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評)
お菓子の見舞いの作よりも見舞いでないこの作のほうが文学的には質が高いのはなぜでしょうか。
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○
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けいこ |
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沿線はからし菜の花の黄にそまるトンネルの闇を過ぎし視界に |
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評)
別府の観光よりも名所でないこの風景の清新な美こそ歌そのものです。名所によい歌なし。 |
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○
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斎藤 茂 |
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孫来ると厨の妻に頼まれて魚をおろして刺身をつくる |
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評)
下句によって孫歌のあまい平凡さを脱した。 |
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○
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嗚 滝 |
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死んだ子が殺した母を呼んでゐるビルの谷間の喧騒の中 |
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評)
ニュースの忌まわしい子殺しを詠む。「呼ぶ声か」として幻聴の感じを出したい。 |
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○
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イルカ |
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雪残るみちのくより来て出会いたり那覇の色濃き寒緋桜に |
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評)
「みちのく」としたので南国の桜が映えました。 |
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