佳作 |
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○
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福田 正弘
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わが妻の癌の検査を待ちながら歌集を読めりこころ鎮めむ
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評)
妻の癌検査の付添いである。本人は次々に医療行為を受けるので不安ながらも当面のことに追われるがじっとして待つだけの付添いは不安が大きい。新聞や週刊誌でなく歌集を読んで心を静めるというのが作者のまじめな緊張を感じさせる。 |
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○
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勝村 幸生
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行司らの古式床しき出で立ちも時に思へりピエロに似たると
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評)
大相撲の行司の古式ゆかしい身のこなしは厳粛という形容が普通であるがまた冷静に客観するとピエロに似ているとも言えよう。厳粛と滑稽は紙一重というがそんな微妙なところを衝いている。 |
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○
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紅 葉
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やうやうに広島過ぎて陽は昇り刈田に霜の白き村あり
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評)
新幹線の窓からみた叙景である。昇ったばかりの朝日にいちめんに刈田の霜が白く輝く。下句の簡潔ですっきりした鮮明な把握が印象的である。 |
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○
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けいこ
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時置かず重ねてうから失ひし君の傷みの傍に居りたし
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評)
親しい友人にかかわる不幸についての思いである。上句ははじめからこのように簡潔にまとまっていた。下句でいろいろ苦労したがこれでしっくりと作者の気持ちに添う表現になったのではないか。 |
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○
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石川 順一
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残り物おでんを食べて図書館へ歩いて行けば詩文庫7冊
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評)
「 残り物おでんを食べて」と知的な「図書館」や「詩文庫」との取り合わせが意外性があっておもしろい。しゃれた料理でなく庶民的なおでんという素朴な生活感によって生きた作である。 |
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