佳作 |
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○
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紅 葉
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糸島のわかめ買ひたりけふひとひ一度限りの人との語らひ
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評)
結句「限りの人との語らひ」にした。こころの翳りがそこはかとなくでている。一日一回しか人と会話がない。思いの分かる歌。 |
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○
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まりも
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さり気なく勧めし詩吟の二年続き夫は張り切る賞状掲げて
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評)
初句の「さりげなく」は表現の工夫要。思いはそこに掛かっていようが、思いの奥のものの具象化が欲しい。このままでもいい歌。 |
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○
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石川 順一
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電話して会合場所を確かめて結局行かず懇親会に
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評)
屈折のある思いがよくでている。ただのお話のようにみえながらこの思いの変化は言葉には言い得ないのであろう。分かる歌。 |
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○
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おれんじビール
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泰山木の花自づから宵月に輝きを増す蕾ほぐして
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評)
写生の歌が少ないなか、よく自然を見て、丁寧に詠まれていていい。下の句がみどころ。昼間より少し大きく月に照る。 |
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○
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けいこ
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斑入りの真赤に咲ける肥後椿一つ落つればまた一つ咲く
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評)
これも自然をよく見た歌。下の句がよく視詰められている。滅ぶもの、また咲くもの、を凝視されているいい歌。 |
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○
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太 田
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外堀の冬びの水面カルガモの動きてあとに輪のひかり立つ
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評)
穏やかな風景であるが、下の句「輪のひかり」をよく見ている。一読してすがすがしい感じがよく出ている。 |
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