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○
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三橋 友香 *
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古き村を杖つく祖父に教わりつつ遠回りする祖母の墓まで
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評)
連作五首どれも優しい思いに溢れていて心地よい。昨今皆が忘れていた情緒である。病と凌いで待っていた祖父との交情がいい。 |
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○
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金子 武次郎 *
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「じいちゃんのいうこと聞く」と膝そろえ夕餉残さず母入院の日に |
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評)
この歌は祖父からみた孫の歌。その母が入院の日に見せた孫の動作に切ない祖父のこころが滲んでいる。また孫も耐えているのである。 |
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○
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福田 正弘 *
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黒インクに姉の書き込みの残りいるアララギ昭和三十四年十月号 |
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評)
今このHPにアララギに関わっていた方の弟さんが参加してくれている。まさしく縁である。歌は絆を呼び感動を呼ぶ無限のもの。 |
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○
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けいこ
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夏五ヶ月書き下ろしたる小説に叔母の受難を辿りたどりぬ |
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評)
作者は小説をネットに発表。無意識に叔母と自分を重ねるのか。現代と過去世との肉親の生き方を比し赤い糸を辿る。叔母は明治の人か。 |
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○
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紅 葉
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一缶のビール冷やして夏の夕胴着まとひて稽古に出でぬ |
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評)
作者は空手か、柔道を習うか、教えるのであろう。仕事を終えて汗を流すのである。爽やかな歌。さっパリとした歌もいい。 |
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○
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石川 順一 *
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収穫の小豆千切るを祝えるか交尾にもつるる揚羽蝶来る |
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評)
収穫の作者も揚羽も自然の中では一体という自然観というか宇宙観があるのであろう。小豆の収穫の喜びがうまく切り取られている。 |
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