佳作 |
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○
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紅 葉 *
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心地よき夜の眠りのくる予感ヨガの稽古に疲れ兆して
夕空にま黒きビルのシルエット西日まぶしき頃のなつかし |
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評)
工夫を重ねてここまで来た。結句に少し手を加えたがよかったかどうか。次、結句の意味するところが不鮮明で、心引かれるものがありながら佳作とした。 |
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○
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金子 武次郎 *
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免許証返納すべきか迷いつつ八十の運転止められず居る
紅葉なす笹谷街道下り来れば蔵王も紅く湖面に映ゆる |
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評)
気持ちはわかるが、やや一般的なところで終っていよう。次、一応は言い得たというところ。 |
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○
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長 閑 *
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月一度草引く庭にはびこりてヌスビトハギの淡き紅
庭に咲く高砂百合をいく本か彼岸詣での花に添えたり |
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評)
独立した1首では、上の句の事情はわからない。「訪ね来て」などとも考えられるが、「て」が重なり大きくいじってしまうことになるのでこのままとしたが、大変心引かれる着眼である。次、内容とすれば一般的だが、一応受け取れる。 |
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○
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まりも
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プランターに細々咲き継ぐサルビアを北風除けて日溜まりに置く
腕力は夫に頼りてパンジーの三十六株植ゑ終りたり |
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評)
参考意見を基に落ち着いた両首。歌はこんなところで留めるということを意識してほしい。 |
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○
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吉井 秀雄
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工場の屋根を叩ける夜の雨にまた時計見る深夜の職場 |
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評)
気持ちはわかるが、下の句がもう少し…。充分に秀作となりうる歌材であろう。 |
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○
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石川 順一
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ギャンブルの無料ゲームを続ければ一日たりとも欠かせなくなる |
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評)
5首の中からこれを佳作としたのは、作者の心にふれるものがあるから。他は、「どうしてどうだった」と話の筋に終っている。 |
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○
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安 藤 *
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ピーマンが嫌いな彼は目を凝らしスパゲッティの具をチェックする
長い夜はラフマニノフを聴きながら時の流れのなかに漂う |
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評)
両首とも軽いが、ある状況や雰囲気を伝えている。 |
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