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(2011年1月) < *印 現代仮名遣い> |
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雁部 貞夫(新アララギ選者・編集委員) |
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秀作 |
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○
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まりも
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今日の散歩は見合はすと言ふ夫残し溝川の鯉ひとり見て過ぐ |
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評)
その他の作品も含めて、詠みぶりに安定感あり、それぞれ良い出来であった。 |
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○
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吉井 秀雄
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わが庭の水木に残る古き巣に戻り来たるか若きひよ鳥 |
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評)
「古い巣」に「ひな鳥」が戻って来た、という新旧の対照が自然に受け取れるところが良い。 |
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○
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金子 武次郎
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大き日はたなびく雲を赤く染め見る間に沈み鳥かげ二つ |
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評)
スケールの大きな自然詠で「鳥かげ二つ」という点景も利いている。他の作も十分受け入れられる出来だ。 |
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佳作 |
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○
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石川 順一
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夜に降る雨から神秘的和音心潤しなごまして行く |
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評)
「神秘的和音」などよく判らないところもあるが、何かがあると感じさせる所を採った。他のはまだ完成途上の作。不安定な所が多い。 |
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○
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安 藤 *
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会いたいと想いが募る帰り道蹴る石もなく枯葉を跳ねる |
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評)
結句は「枯葉が」とすべきである。他の作にも未だ一人よがりの所がある。それは独自性とは別物である。 |
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○
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紅 葉 *
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先輩に会える明日はどんな顔どんな話をすれば良いのか |
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評)
一連ではこの作が一番。他の作もよくまとまっていてなかなか良かった。 |
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○
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安 達
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日常の狭きループに回されてゆらめく横に鉄骨伸びたり |
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評)
上の句「ループ」と結句の「鉄骨」の景がもっとしっくり結びつくとなお良かった。他の二つは未だ不十分で表現がぎこちない。今後の課題である。 |
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● |
寸言 |
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選歌後記
ある程度の作品を楽々と制作出来るようになるまでには、やはり相当の習錬を積む必要がある。
言葉そのものと作者の本当に感じていることには始めからギャップが存在する。最も核心をつく言葉を探しあてるための訓練をこのHPを通して行っているのである。
あきれるぐらい毎日練習している天才イチローにしても、一試合では打てるヒットは1本か2本。作歌に精出すのが最良の方法である。
雁部 貞夫(新アララギ選者・編集委員)
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