佳作 |
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○
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まりも
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新しき山土あかく畝覆ひ友の大根日々太りゆく
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評)
赤土の山土を苦労して客土した友の畑なのでしょう。この歌も下の句の裏付けがしっかりと上の句でなされています。「豆腐屋の・・」「校舎より・・」もよいでしょう。 |
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○
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紅 葉
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すこやかに皆ゐるらむや市報には「いずみ短歌」の募集の知らせ
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評)
作者は事情あってしばらく離れているのでしょう。そういう時の思いがよく表れています。 |
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○
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いちおか ゆかり *
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子と二人ろうそくの火が消えぬよう墓に寄り添い手を合わせおり
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評)
蝋燭は墓石の前ですから、手で覆うには当然「墓に寄り添い」ですが、そこがくどくなく、かえって気持ちとなって表れています。「おむつ替え・・」は当たり前過ぎ、「桜の木・・」は切られた枝を拾ってきて咲かせようとしているのでしょうが、「満開」とまで言うのはどうでしょうか。 |
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○
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くりす *
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老い猫とひとつ枕をうばいあい獣のように重なって寝る
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評)
思い切って言ったところがとてもよい。「亡き友の・・」も注目したところですが、「破り捨てたる」の感じがもう少し出るとよいと思う。 |
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○
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石川 順一
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雪落つる音は確かに神秘的夜のしじまに何もせぬ時
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評)
一つの感じをとらえ得ています。 |
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○
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安達 広介
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夜の隅ひとりかがやく自販機に闇の中より烏龍茶押す
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評)
「闇の中より」に少し無理がありますが、暗い中から近づいて行ったのでしょう。
他の4首もそれぞれ独自なところがあるのですが、それが表し切れていないのが残念です。 |
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○
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安 藤 *
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ひっそりと降る牡丹雪手を濡らし胸いっぱいにいちめんの白
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評)
「手を濡らし」は手の上で雪がとけたのでしょうか。そして「胸」のあたりには服に「いちめん」に付いているというのでしょう。問題はそれらがどういう感じを作者に与えているのかがはっきりしまいところです。「うっすらと・・」の歌の方がよかったのかも知れないとも思いますが、「桟に書く」がどういう所に書くのか分かりません。 |
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