佳作 |
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○
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古賀 一弘 *
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「女の子ほしかったわね」と紙雛を飾れる妻に相槌打ちぬ
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評)
ある日の一コマを「紙雛」で以て掬いあげ、成功した。穏やかな日々が背後に窺える。 |
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○
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仁科の囁き
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久々に鉞を手に山に入る屋根の押さへの丸太を伐りに
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評)
鉞を振うのも、屋根を押さえるのも大変な作業であろうに、ぼやいていない心意気がよい。 |
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○
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蒲公英 *
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「がんばるね」と言いし妹思いてはハイビスカス咲く庭に佇む
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評)
「病名も不明のままに入院せる窓の外には雪降り続く」があって、理解をたすける。雪の日本と居住地のハワイとの往還をうたっている。 |
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○
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文 香 *
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春日射すこの海と風をとどけたしフェイスブックでつながる君へ
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評)
OA機器全盛の今を、さらっとうたってさわやかである。 |
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○
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栄 藤
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考へてはならざる事をとどむべく短歌に心を移さむとする
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評)
頭を離れない何かを払おうとする刹那(瞬間)の心動きを捉えた。「歯痒くもわれは見てをり鉢ごとのクリスマスローズうつむきて咲く」も面白いと思った。 |
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○
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きよし *
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我が庭をぽっぽぽっぽと歩みいる鳩を目に追う留守居する昼
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評)
いかに手持無沙汰なときでも、楽しめる作者であろう。「鳩を目に追う」で救われた。 |
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○
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菫 *
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シャムロ鳩の朝のコーラスひびきわたりホノルルの町あかく明けそむ
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評)
作者には「チョットコーイ」と聞こえるというハワイの野鳩。よあけの声を捉えて、明るく広がりのある情景が好ましい。 |
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○
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まなみ *
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園児から贈られしレイに首を埋めお別れの日の写真に収まる
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評)
卒園式当日のことであろう。園児達もまじめな顔で並んでいる。 |
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○
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岩田 勇
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色々な人生見てこしわれなるよマンション管理人十年を経て
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評)
内容があるだけに、もう少し推敲してほしかった。 |
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○
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山木戸 多果志 *
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荒れしままの古墳の草を刈りているボーイスカウトの心意気良し
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評)
「心意気良し」とまとめてしまったが、ボーイスカウトの写生に徹して、生き生きと歌ってほしかった。 |
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○
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紅 葉 *
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娘から会ってほしいとメール来る妻は会わぬと言いはる相手に
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評)
初稿のみであった。事実のみを述べて、言外を窺わせる作品。歌には詳しすぎるとの評もあるかもしれない。 |
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