且つてこのホームページでコメンテーターを務めて下さっていた星野清氏、新アララギに作品が載っている間はこのサイトの「選者の歌」に掲載されておりました。しかし一昨年91歳で亡くなられてからはそれも出来なくなりました。そこで今回はその歌集『白嶺』の中から作品を紹介したいと思います。
『白嶺』から(みどりの谿) 星野 清
五月雨はみどりの谿に降り止まず水際の草の濡れて明るし
水楢の下道来れば灯をともしフィルムの自動販売機立つ
紙を漉く家より落つる濁り水青田のなかの水路染めゆく
楮の皮積まれし納屋に拾ひたりタイ国よりの荷札のコード
反対を唱ふる者が老いて欠け進みゆくといふ新都市計画 |