落合京太郎歌集より
土屋文明の弟子、裁判官を歴任した後 司法研修所長を務めた。
明治三十八年〜平成三年 享年八十五
出来損が窯変天目になることを疑はず我は歌作り来ぬ
てにをはを訓読を後のため考へし人々の先頭にわが憶良あり
万葉集に繋がる喜びを次々詠み見えぬ袋にも蔵めて帰る
十歩にて行きとまる我が庭の秋心安らぐ竹の二三種
救ひ得ざりし嘆を彫りし石文は爆撃に砕け台座残りぬ
あからさまに老いたる我の或時は喉につかへし水に苦しむ
花に言葉人に涙のあることも老い老いて知るわれは愚に
貧しきを拙きを日々繰りかへし呼吸の間のいのちを保つ
体から力を抜いて眠らむとする老の工夫もほとほと続かず |