作品投稿

作品募集要項

短歌をお寄せ下さい。作品には運営委員による指導があります。以下の手順でお願いします。

(1)「初稿」の提出。1人1か月に5首まで。自作未発表作品であること
(2)「改稿」の提出。「掲示板」での添削等を取り入れた改作。この提出は月3回程度。
(3)毎月20日までに「最終稿」と明記して、1人3首まで(厳守)を、指導を受けた作品の中から自選して、あらためて提出
(4)ハンドルネームを使用してもよいが、混乱が生じやすいので頻繁に変えないこと。
(5)「新アララギ」本誌の会員は、ここに投稿した作品を本誌に二重投稿することのないように注意する。
(6) 投稿された作品は選抜の上、「新アララギ」誌上又はインターネット上のホームページに掲載される。掲載後は原則、削除や消去は不可である。


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今月の秀歌と選評



 (2026年5月) < *印 旧仮名遣い >

清野 八枝(新アララギ HP運営委員)


 
秀作
 


湯湯婆

雛のこえ聞かんとするかフン箱をよぎる歩みのゆるり静かに
留まりいし蜻蛉の姿見えざりきフェンスは雨に錆の色濃く


評)
前の歌、ツバメの巣の下にそのフンを受け止めるフン箱が今年も置かれた。雛の声を聞こうとするのか、ゆっくり静かに通行する人らに親しみを覚える作者。後の歌、長雨の中、フェンスにとどまっていた蜻蛉の姿は消え、フェンスの錆の色だけが雨に光る、寂しい光景を印象的に描き出した。
 


つくし 

日常から離れる宿を選ぶとき心はすでに旅立ちており
青もみじと苔の彩る三千院平安朝の阿弥陀堂仰ぐ


評)
前の歌、上の句と下の句が自然に呼応して作者の思いが読者を新鮮に導いてゆく。滑らかな調べとリズムが心地よい。後の歌、もみじと苔の緑の美しい三千院を巡り、み堂の長い歴史に思いをはせる作者の姿が浮かんでくる。
 


ふで

世の中はきっとよくなると信じつつ「友よ」歌った西口広場(新宿フォークゲリラ)
新宿のあの夏の日々無限だと思いおりしか時間と未来


評)
前の歌、ベトナム戦争中の1968年頃から大阪、東京などで始まった学生、市民の反戦集会が広がり、新宿西口広場では大勢の人々が反戦のフォークソングなどを歌って大変な熱気であった。「友よ」はそこで歌われた岡林信康の曲である。学生であったろう作者の純粋な思いに共感する。後の歌、時間も未来も無限にあると思っていた若き日の自身の傲慢をいとしむようにしみじみと振り返る作者である。「思いおりしか」の「か」は詠嘆の終助詞である。
 


鈴木 英一 *

鯉のぼり風になびけり三輪車ころがすやんちやな児ら見下ろして
満員の園児ら乗せしカート過ぐ燕の巣に似て皆こちら向き


評)
前の歌、やんちゃな子供たちが三輪車をひっくり返して遊ぶ姿を見下ろして悠々と泳ぐ鯉のぼり。五月の節句らしい楽しい光景を捉えている。後の歌、通り過ぎたカートに満員の園児ら。みなこちらを見て賑やかに声を上げている。まるで黄色い口をそろえて開けている燕のヒナたちのようだとその賑やかな可愛らしさを詠んで秀逸である。
 


原田 好美

亡き母の植えし黄牡丹咲きたりと義妹からの写メール届く
桜えびのかき揚げ甘くサクサクと娘と孫と沼津の寿司屋


評)
前の歌、母が植え、義妹が大切に育てた黄牡丹の色鮮やかな見事な花が目に浮かび、写メールを届けてくれた義妹への作者の感謝の思いが伝わってくる。後の歌、桜えびのかき揚げが本当に美味しそうだ。「サクサクと」の擬音語が効果的である。沼津なら新鮮な桜えびの食べられる漁港の町である。大切な家族と可愛い孫と美味しいかき揚げを食べた楽しく幸せな一日をしっかりと詠みあげている。
 


あご *

寄り添ひて灯りを数へし指先のぬくもり淡く潮風に消ゆ
いつかまた灯りがともる波止場にて行き交ふ影に君を探さむ


評)
前の歌、物語にあたたかな現実感を与えながら、どこかはかなさを感じさせ心引かれる一首。後の歌、いつかまた、あの人に会いたいという切ない思いがロマンチックに歌われている。文語の表現や仮名遣い、文語文法が身についている。これから更に、作者自身の関わる現実に触れる材料を詠んでいけたら、読者の心により響く歌が生まれてくるであろう。
 


まどお

ケアハウスにわが会う若き外国の研修生の笑顔増えゆく
山上に近づくほどに寒くなる妙見口までの各駅停車


評)
前の歌、研修生は真面目に一生懸命に仕事に取り組んでいてケアハウスの人達に愛されているのであろう。感謝や労いの言葉をかけられ、笑顔で応える研修生が浮かんでくる。後の歌、大阪と兵庫県の境にある660mの能勢妙見山に登る電車であろう。高度が100m上がれば体感温度が1度下がるという。登るにつれてどんどん寒くなる実感が伝わり、作者と風景が浮かんでくる自然な詠み方がよい。
 

佳作



夢子

五月闇ひとのぬくもり遠くしてわが身ひとつの火を抱きて寝る
老いの身を脱ぎ捨てる夢見し夜は目覚めてなおも胸ぬくかりき


評)
前の歌、五月雨の降り続く湿った暗い夜の闇の中に、人のぬくもりを恋いつつ、寂しくわが身を抱きしめる作者。その身のうちにひとつの火を抱いたままで。「火」とは何か、インパクトのある表現で様々なことを考えさせられる。後の歌、若く生まれ変わる大胆な夢を詠むが、結句で夢の余韻が温かく伝わってきてほっとした。改稿を待ったが、中断してしまい残念です。
 


紅葉

夏服の仕立て直しも亡き父がいっしょにいると思えればこそ
戦争を始めた国にその昔住みしことありいよいよ遠くに


評)
前の歌、「仕立て直し」は懐かしい言葉だ。父の思い出が染み込んでいる服を大切に手入れして作者が着るのだろうか。
父への尊敬の思いが強く伝わる。後の歌、その国はアメリカだろうか。結句が舌足らずで「いよいよ」の意味が分からない。これらのコメントが作者の意図と違う解釈になっているかもしれないが、改稿を経ないと、読者に伝わらないひとりよがりの歌になってしまう。興をひく材料なのに勿体ないと思う。お忙しいとは思うが是非改稿を経て歌を学ぶことをお勧めしたい。
 
 
寸言

 アメリカとイランの終戦がいつになるのか、ウクライナ侵攻はどの様に終わるのか、イスラエルの敵意とガザの悲劇に救いはあるのか、ニュースを見るたびに心が痛みます。不安定な世界の情勢のなかで、私たちの日常生活への不安も増しつつある昨今ですが、わが国が戦争に加担せぬよう、戦争に巻き込まれぬよう危惧しつつ平和を祈る毎日です。
 今月は、皆さんそれぞれの新鮮な捉え方で季節感のある良い歌を寄せて頂き、嬉しく読ませていただきました。コメントに応えて推敲に苦心した改稿が、格段に内容の深まった良い歌になって、担当者として手ごたえを感じ嬉しく思いました。このページに初めて参加した方々もしっかりと表現が出来ていて、これからを楽しみにしております。次回も良い歌をふるってお寄せ下さい。お待ちしています。

       清野 八枝 (新アララギ HP運営委員)
 
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