作品投稿

作品募集要項

短歌をお寄せ下さい。作品には運営委員による指導があります。以下の手順でお願いします。

(1)「初稿」の提出。1人1か月に5首まで。自作未発表作品であること
(2)「改稿」の提出。「掲示板」での添削等を取り入れた改作。この提出は月3回程度。
(3)毎月20日までに「最終稿」と明記して、1人3首まで(厳守)を、指導を受けた作品の中から自選して、あらためて提出
(4)ハンドルネームを使用してもよいが、混乱が生じやすいので頻繁に変えないこと。
(5)「新アララギ」本誌の会員は、ここに投稿した作品を本誌に二重投稿することのないように注意する。
(6) 投稿された作品は選抜の上、「新アララギ」誌上又はインターネット上のホームページに掲載される。掲載後は原則、削除や消去は不可である。


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今月の秀歌と選評



 (2026年3月) < *印 旧仮名遣い >

小田 利文(新アララギ HP運営委員)


 
秀作
 


原田 好美

葉の陰の枝に連なりふくふくと馬酔木の蕾は房を垂らせり
何年も外国籍の子供らを指導する友はヘイトを危惧す


評)
一首目、丁寧な観察が調子の整った歌の中で生かされている。三句目と結句にこの季節の植物の息吹を感じる。二首目、これまでにも見られた外国籍の人々へのヘイト活動が強まっていることを、「指導する友」は肌身に感じているのであろう。社会情勢を身近な視点から捉えて詠んでおり、共感を覚える作品となった。「弟の育てし蜜柑滴りてはるかに文旦味わいて食む」も、弟さんへの深い愛情が良く伝わってくる一首。
 


夢子

終の友百歳を前に身罷りぬ帰らぬ日々を一人悲しむ
山あいの庭に育てし木の影がわが九十路を静かに包む


評)
一首目、百歳を目前にして旅立った友を偲ぶ作者の悲しみが、「帰らぬ日々を」に良く表れている。二首目、身辺の自然を丁寧に詠んだ上句と印象的な下句とがうまく繋がり、味わい深い作品となった。「夢に見しハワイを終の棲家とせし九十二歳に春風が吹く」は、読者の気持ちも明るくさせてくれるようだ。
 


ふで

追いかけてすれ違ってはまた追いかけると君のようサインコサイン
雨降らぬダムの水面に沈みいし木々の梢か枯れ枝の見ゆ


評)
一首目、思わず引き込まれそうになるリズミカルな作品。下句の視点がユニーク。正岡子規の「酒」という随筆にも「三角術の試験」という言葉が登場する。二首目、今年の冬は記録的な少雨となり、各地のダム貯水率も大幅に低下した。ダムの底に沈んでいた枯枝に焦点を絞り、読者に訴える力のある歌に仕上がっている。「水平線より揺らぐ光も弱まりて紅増しつつ沈む太陽」は、夕日が沈んでいく時間の静けさを感じさせてくれる歌。
 


鈴木 英一

四十年前住みいしアリゾナのアパートはグーグルマップに今も変わらず
近くよりコヨーテ群れいる声聞こえ車へ急げと友は叫べり


評)
一首目、作者独自の生活の歴史が詠まれ、興味深い。下句に現代という時代が反映されており、この作品の魅力となっている。二首目、緊迫感あふれる歌。初稿と較べ一首の流れが淀みないものとなったことで、読者を引き付け得る力ある歌となった。「真っ暗のアリゾナ砂漠に友らと見き長き尾を持つハレー彗星を」も、作者独自の体験を詠み迫力がある。
 


紅葉

待たないで駅まで歩く決断は正しかったよバスは来たらず
千葉迄を往復したり手ごたえはなくていよいよ遠い場所なり


評)
一首目、初稿の「正しかったか」が「正しかったよ」と変わっただけだが、味わいのある作品として完成した。同様に二首目も「変わらず」が「いよいよ」に変わることにより、作者の思いがより反映される作品となった。「空からは雨の土曜日とぼとぼと行けば落ち行く椿に出会う」は、日常の中の一瞬の発見を詠んだ魅力ある作品。
 


つくし

吹き抜けより光差し込むきさらぎにそれぞれ時を忘れて過ごす
亡き母と共に作ったマーマレード苦味が好きだと言いあいながら


評)
家に差し込む日差しがありがたい時期の何気ない光景だが、そこに向けられた作者の温かい眼差しが良く伝わってくる。初句、第二句の具体的な描写が良い。二首目、母との思い出の一コマが描かれている。その光景が目に浮かぶような下句の描写により、読者の心に届く作品となっている。「冬晴れが続いた庭に撒く水に木々の安堵の声が聞こえる」からは、庭の木々に寄せる作者の愛情が伝わってくる。異なる季節の作品になるが、小谷稔先生の「水欲しと思ふ暑さに庭の木も渇きをらむと水遣りに立つ」(『大和くにはら』)を思い出した。
 


 
寸言

 今回は作品の対象が身のまわりの出来事や風景にとどまらず、社会詠や数学を取り込んだ作品、ダイナミックな大自然を詠んだ作品など、コメントにも選歌にも楽しみを持って取り組ませていただいた。
 地球温暖化の影響で短い期間ではあるが、これからしばらくは凌ぎやすく、屋外での活動にも適した気候となる。養ってこられた力を存分に発揮して、読み応えある作品を投稿していただければと期待している。

      小田 利文 (新アララギ HP運営委員)
 
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